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Think outside the box

Unus pro omnibus, omnes pro uno

雇用問題・企業の内部留保・アベノミクスの整理

雇用問題において、

の意見対立をよく目にします。

雇用環境が20年前に比べて著しく悪化していることは明らかなので、改善を訴えることには大きな意義がありますが、各論に突っ込まれる要素があるので、総論の「雇用環境改善」の議論が進まないのが残念なことです。

そこで、これらについて整理してみます。

現時点において、アベノミクス批判があまり適当ではないと考えられるのは、良くも悪くも実体経済には大した効果を及ぼしていないからです。

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Brexitと先進国の南アフリカ化

政治・歴史・社会

トピック「イギリス」について

イギリスを二分したEU離脱Brexit)を問う国民投票は、エリート/エスタブリッシュメントと中下層の対立を鮮明にしました。*1

www.thelocal.de

It was Britain’s poorer and less-educated citizens — angry at not having shared in the economic benefits of a new world order — who pushed it out of the European Union, in a vote that threatens elites, analysts say.

At the root of this surge in anti-establishment sentiment is a feeling of fear, loss of control, and traditions and identity lost among those who are struggling economically, analysts say.*2

gendai.ismedia.jp

EU離脱をめぐる国民投票は様々な二項対立で説明されたが、その一つが「残留支持のエリート層と離脱支持の庶民層」という構図だった。

“完全な統合を急ぐという観念に取り憑かれ、我々は庶民、EU市民が我々と(統合への)情熱を共有していないということに気付かなかった”

欧米に広がる反エリート意識を理解する参考になるのが南アフリカ事情です。

*1:「エリート」は、Thomas Frankが言うところの"professional class", "creative class"に相当。人口の約1-2割を占める。

*2:強調は引用者、以下同。

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[グラフ]建設国債・特例国債・企業の資産と負債

普通国債の残高は2015年度末(見込)で800兆円、対GDP比160%を超えています。金融危機の1997-98年から急増しています。

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金融危機以降の増加の大部分は特例国債赤字国債)等です。

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製造業の衰退:イギリスと日本

一つ前の記事で、イギリス経済のバランスの取れた成長には衰退した製造業の復活が効果的という장하준の論考を紹介しました。

www.theguardian.com 

…, given that the value of sterling has fallen by around 30% since the crisis. In any other country a currency devaluation of this magnitude would have generated an export boom in manufactured goods, leading to an expansion of the sector.

Unfortunately manufacturing had been so weakened since the 1980s that it didn’t have a hope of staging any such revival.

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イギリスほどではないものの、日本も同じ方向に向かっています。

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Brexit~「極右」vsネオリベ&リベラル連合

政治・歴史・社会

トピック「イギリス」について

イギリスの国民投票の結果に対して、イギリス以外の国々でもエリートが大騒ぎしているようです。

business.nikkeibp.co.jp

この決定はまず、6月24日のポンド暴落が象徴するように、英国経済にとって激震となる。‥‥同国はスイスやノルウェーのようにEUと交渉して、少なくとも関税廃止などの利点を維持しようとするだろう。

しかし、イギリスはユーロは導入していない上、シェンゲン協定にも参加していません。スイスやノルウェーと同じ立場になるだけで、経済が大混乱を来すでしょうか(両国に比べて所得水準が低いのは弱みですが)。スウェーデンフィンランド、オーストリアもEU加盟は1995年と比較的最近ですが、加盟によって飛躍的に経済力が高まったようには見えません。*1

イギリスの財務省は、EU離脱によって大きな経済損失が発生するとの試算を発表していますが、日本の財務省が財政危機を煽っているのと似た魂胆があるのではないかと疑ってしまいます。

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*1:イギリスの加盟は1973年。

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