Think outside the box

夏眠中|I shall return.

日本経済

「改革」は誰れのために

日本では、中曽根政権から徐々に進められてきた新自由主義的「改革」が、1997年11月の金融危機を契機に一気に加速しました(→失われた20年)。 その「成果」が、人件費抑制と企業利益・配当金の急増です。 厚生労働省の2010年版『労働経済白書』では、労働者…

企業の財務戦略~金融危機の前と後

脇田成は企業の行動が1997年の金融危機を境に変化したことが、マクロ経済の慢性的需要不足を招いたと指摘していました。 賃上げはなぜ必要か: 日本経済の誤謬 (筑摩選書)作者: 脇田成出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/02/12メディア: 単行本この商品を…

1999年に予言されていた「失われた20年」

日本経済は1997年度から名目ベースで成長できなくなっていますが、その直接の原因は、企業部門が資金余剰を続けていることです。 このことは、政府部門に置き換えると理解しやすくなります。 フローでは毎年度「財政赤字」を続けていたものが、1998年度以降…

金融に乗っ取られて貧しくなっていく日本経済

過去20年間の日本経済の相対的凋落(と中国の急成長)は劇的です。 その直接の理由は、金融危機が発生した1997年を境に、名目GDPが上昇トレンドから「ボックス相場」に移行したことです。

「安倍政権は経済重視」という印象操作

安倍内閣総理大臣が2012年末の就任記者会見で 強い経済は、日本の国力の源であります。強い経済の再生なくして財政再建も日本の将来もありません。 内閣の総力を挙げて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略、この三本の矢で経済…

アベノミクスの目標は「日本人特権の廃止」

2012年11月からの景気拡大の期間がバブル景気を超え、高度成長期の「いざなぎ景気」超えの可能性も高まっています。*1 戦後の景気拡大期間の上位4つです。*2 2002年1月~2008年2月(73か月) 1965年10月~1970年7月(57か月):高度成長期 2012年11月~(4月…

日本企業とシュガー・マウンテンと石仮面

企業の利益剰余金と経済停滞の関係に着目したことはよいものの、事態の打開のための提案が逆に事態を悪化させるという内容の記事です。*1 jp.reuters.com 金融危機の1997-98年から利益剰余金の増加ペースの加速と日本経済(特に家計部門)の停滞感・転落感…

日本経済を成長させないための三つの仕掛け(と仕掛人)

一国の経済水準を長期的に高めていく「富国」には、公共投資と設備投資が重要な役割を果たします。逆に、ある国の経済を長期的に衰退させるのであれば、公共投資と設備投資を減らすように仕向けることが効果的です。 日本の実質公的固定資本形成は1995年度の…

最高益4.0と資本効率革命

5月25日と26日の日本経済新聞朝刊1面に掲載された「最高益4.0に挑む」について、財務省「法人企業統計(四半期別調査)」の資本金十億円以上の企業(金融業、保険業を除く)をグラフにして検証します。*1 「減収で最高益」が4.0と1.0~3.0の違い。 *1:フロー…

日本企業は日本人労働者を安く買い、外国企業を高く買う

日本の賃金が抑制されるようになった経緯を、内閣府「国民経済計算*1」と財務省「法人企業統計*2」で確認します。 経済全体の労働生産性の指標として就業者1人当たり実質国内総生産、賃金水準の指標として雇用者1人当たり賃金・俸給を用います。 *1:1980-20…

[グラフ]設備投資から株式取得へ

東芝や日本郵政など海外企業買収の失敗が相次いでいます。 www.sankei.com www.newsweekjapan.jp 日本企業の投資の内訳の激変を、財務省「法人企業統計」から全産業(金融業、保険業を除く)の有形固定資産(土地と建設仮勘定を除く)と株式(その他の固定資…

デフレの原因はリストラクチャリング/長期停滞の犯人は「合理的な愚か者」

日本銀行政策委員会の審議委員にバリバリのリフレ派が任命されるということなので、改めて「デフレの正体」について検証します。 長年デフレデフレと騒がれてきたので、1990年代後半から近年までのほとんどの期間、物価下落が続いていると錯覚している人も多…

サッチャーの警告と日本経済~人を呪わば穴二つ

新自由主義(ネオリベラリズム)に基づく経済政策「サッチャリズム」を強力に推し進めたサッチャー英首相は、1990年11月の辞任直前に、野党議員の「1979年に比べて上位10%と下位10%の格差が著しく拡大した」との批判に、次のように答えました。 [H]e would r…

最低賃金への競争~「失われた20年」は静かな文化大革命

「最低賃金1500円」については2年前にも記事にしていますが、改めて検証します。 blogos.com 結論を先に示すと、このような(⇩)「経済学的に正しい」思想が社会に広がったことが、賃金上昇を抑圧して日本経済を衰退に導いていることになります。 世界経済を…

財政赤字は無問題~ファウストと子守協同組合

『富国と強兵』の著者・中野剛志の主張について考察します。 【「財政赤字の拡大」は政府が今やるべきことか】 日本の20年にも及ぶ長期停滞の真因 : https://t.co/Jumb28aCtC #東洋経済オンライン pic.twitter.com/jAibpuOahM — 東洋経済オンライン (@Toyokeiz…

[グラフ]東京都の人口~構造改革とは日本の「周辺」化

世界システムに深く組み込まれた国では、中心都市への人口集中が進むということなので、 世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫)作者: 川北稔出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2016/01/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (8件) を…

失われた20年における「テクノロジーから女手へ」

ひとつ前の記事では、企業が株式市場の投資家の要求に応じて資本効率の向上を目指すようになった結果、設備投資の抑制(→資本装備率の低下)と低賃金労働の増加が生じたと分析しましたが、みずほ総合研究所のエコノミストEyes(2015年5月28日)「収益率向上…

「低賃金カルテル」と勤勉革命

社員の奴隷化とサービス業の低生産性について再度考察します。 blogos.com スレ主の母は今の世の中で残業が常態化しているのを見て「現役で働いていた頃はこんなことなかった」と言うそうだ。「たまにあるからこそ残業。だからこそ私(投稿者)を育てること…

21世紀日本の再版農奴制

日本で「社員の奴隷化や人材の使い捨てが横行」するようになった原因について考察します。 日本はなぜ「残業天国」になってしまったのか 低すぎる基本給と過剰なおもてなし精神に苦しめられ https://t.co/bEgKZi99T9 — キャリコネニュース (@kigyo_insider) …

シムズの事実誤認~日本経済はキャッシュ・カウ

リフレ派の教祖・浜田宏一が持ち上げたことで話題になっているクリストファー・シムズ教授ですが、新聞やテレビのインタビューを見る限り、「日本の財政政策の専門家ではない」ことはもちろんのこと、日本経済の実情を全く理解していないことがほぼ明らかで…

シムズ理論は聞き流してリフレ論争に終止符を

リフレ派の教祖・浜田宏一を改宗させたことで注目されたクリストファー・シムズ教授のインタビューが1月27日の読売新聞と29日の日本経済新聞に掲載されていましたが、日本経済の不調の根本原因を理解していないため、見当違いな話に終始しています。*1 根本…

QQEの破綻が示すデフレ不況の真犯人

総務省から昨年12月の消費者物価指数が発表されました。 2%のインフレ目標には程遠い状況が続いています。 2013-14年の一時的上昇は輸入インフレ(←円安)によるもので、国内のインフレには点火しませんでした。

[グラフ]労働分配率

内閣府「国民経済計算」から労働分配率や雇用者に関する統計をグラフにします。下の記事も参考にどうぞ。 toyokeizai.net

「失われた20年」の真因はグローバリゼーション

先日の記事の続きです。 totb.hatenablog.com 麻生財務大臣のように「内部留保≒遊休資金」とイメージしている人が多いようですが、実態は異なります。 www.sankei.com 「企業の収益は最高を記録しておりまして、その稼いだカネがどこに行っているか。通常で…