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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

円安の目標水準

日本経済のファンダメンタルズと整合的な適正為替レートについて考察します。

為替レートの適正水準については、内外の物価水準を等しくする購買力平価など、様々な理論がありますが、ここでは、製造業の衰退が1993年の円高を契機に始まったことに注目して、「製造業の価格競争力が中立的な水準」とします。

価格競争力の指標には、製造業の単位労働コスト(1単位の生産に要する労働コスト)の日本と外国の比率を用います(詳しくは過去記事参照)。過去、日本の輸出競争力が強過ぎず・弱過ぎずの中立的水準だった時には、外国に比べた日本の単位労働コストが適正水準にあったことになるので、現時点でその水準を実現する為替レートを適正為替レートと見なせます。比較する国は、日本の輸出競争相手として重要なアメリカと韓国です。

対アメリカでは、プラザ合意前が割安であることと、クリントン政権の円高誘導期が割高であることは明らかなので、適正水準はその間にあることになります。各時期の両国の経済状況を勘案すると、中立的なドル建て単位労働コストの日/米比(2002年=1)は0.93±0.05程度と推定されます。現時点で0.93にするためには、1ドル=110円が必要となります。 

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対韓国では、生産能力の飛躍的な量的拡大も考慮すると、中立的なドル建て単位労働コストの日/韓比は0.68±0.04程度と推定されます。現時点で0.68にするためには、1円=9.9ウォンが必要となります。

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非常に大雑把な試算ではありますが、対ドル・対ウォンともに今日の為替レートより約15%の円安になります。

ゴールドマンサックスの多因子モデルに基づいた試算では1ドル=105円程度です。

 以前から政府に円高是正を要求していた日産自動車のゴーンCEOは、1ドル=100円程度を適正水準としています。 

また、安倍政権は1ドル=100円を円が割安な水準に程遠いと認識しています。

総合すると、1ドル=105~110円、1円=10ウォン程度の実現を暗黙の目標として金融緩和を進めていけばよいと言えるでしょう。この水準に到達した後、円高への揺り戻しが起こった際には、「ファンダメンタルズと整合しない投機的円高を阻止する」という大義名分のもと、スイスの中央銀行のように無制限円売り介入に踏み切ればよいのです。

 

追記:関連記事があります。

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