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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

HBSのクリステンセン教授がMBAビジネスの終わりの始まりを予言

イノベーションのジレンマ』で知られるハーバードビジネススクールのクリステンセン教授が、MBAビジネスが破壊的イノベーションにさらされている(※1)、との認識を示してアメリカで話題になっているようです。下のリンク先にある動画の8:30~14:00の部分です(全体のテーマはインターネット時代のジャーナリズムについて)。

このクリステンセン予想の背景には、高所得国における“学位インフレ”があります。

ハジュン・チャン著『世界経済を破綻させる23の嘘』の「第17の嘘」より
誰もが大学へ行きたいと思えば、高等教育への需要が増大し、その需要を満たそうと大学の数が増え、入学率はさらに上がり、大学へ行かなければならないという人々の思いは一段と強まる。こうして“学位インフレ”が起こる。つまり、誰もが学士号をもてば、他人より目立つには修士号を、いや博士号を取得しなければならなくなる、ということだ。そうした上の学位を取得しても、未来の仕事の生産性を向上させるのには最小限しか役立たないとしても。

学位インフレが、一流ビジネススクールの強気経営(高額授業料)を支えていたわけです。

ビジネススクールを支えていたもう一つの要因は、高額の授業料を払っても卒業後に取り返せる高報酬の就職先(投資銀行コンサルティングファーム)が存在していたことです。

投資銀行コンサルティングファームぼろ儲けする→それらの業界への就職希望者が増える→就職競争が学位インフレを促進する→ビジネススクール応募者が増える→授業料が高騰する、という流れです。

ところが、投資銀行コンサルティングファームぼろ儲けが突出したため、一般の事業会社は、ビジネススクール卒業生にとって魅力的な報酬を提示できなくなってしまいました。卒業生にとっては、就職先が減ったことになります。

事業会社は幹部候補生の養成をビジネススクールに外注(アウトソース)していたわけですが、外注費が高騰すれば、内製化(“corporate university”の設立)に切り替えるのは自然な流れです(※2)。 

こうなると、「超高報酬を得るために高額の授業料を払ってビジネススクールに行く」ことが、「ビジネススクールに行かずに事業会社で出世を狙う」ことに比べてリスク/リターン的に有利とは言えなくなります。

結局、ビジネススクールブームは、投資銀行コンサルティングファームなど強欲産業の1980年代からのバブル的興隆と表裏一体であり、バブルの終極=値上がりし過ぎて買い手がいなくなる状態がついに訪れたということなのでしょう。

強欲産業にどのような「破壊」が訪れるのかも見物です。

 

(※1)過激(radical)だから破壊的(disruptive)なのではなく、複雑・高価なプロセスが単純化・大衆化されるから(産業にとって)破壊的、という意味だそうです。

 (※2)石油危機後、産油国が強気になって値上げしたら、それが先進国の代替エネルギー開発を促進してしまったことと同じ構図です。

 

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

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世界経済を破綻させる23の嘘

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