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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

量的緩和とインフレ率

金融

日本銀行は2年間でマネタリーベースを倍増させる新たな金融緩和策を打ち出しました(3月の平均残高は135兆円、うち現金87兆円、日銀当座預金47兆円)。新たに供給される135兆円のうち、家計や企業が銀行から引き出して現金化する額を除いた分が日銀当座預金に積み上がることになります。市中にある現金は既に歴史的高水準にあり、増加余地は大きくないと考えられため、日銀当座預金は2年後に150兆円(GDPの約30%)を超える可能性が濃厚です。

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これまで日銀を批判してきた論者(いわゆるリフレ派の多く)は、日銀が日銀当座預金の超過準備額を大幅に増やす→予想インフレ率が上昇→資産価格上昇&先送りされてきた需要が顕在化→予想が現実化してインフレ率上昇、というロジックを展開していましたが、今回の日銀のマネタリーベース倍増策はそれに従ったものと言えるでしょう。

中央銀行の当座預金(準備預金)残高が(予想を通じて)インフレ率を左右するというロジックの矛盾・問題点については過去記事で検証しているのでここでは繰り返しませんが、論より証拠ということで、日本の当座預金(準備預金)残高とインフレ率の長期推移を見てみます。

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2001年以降の日銀当座預金残高の急増・急減がインフレ率(物価を対数目盛表示しているので、傾きがインフレ率を表す)と無関係であることは一目瞭然です。

これに対してリフレ派の多くは、当座預金残高をもっと増やせばインフレ率は上がる/アメリカはその成功例、と主張しています。こちらも論より証拠でグラフを見てみます。日銀当座預金に相当するのは連邦準備制度の準備預金です。

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2008年からの準備預金残高激増(QE)がインフレ率にほとんど影響を与えていないことは明らかです。アメリカのQEを「日銀当座預金残高を増やせばデフレ脱却できる」という主張の根拠にするのは不適切と言わざるを得ません。

中央銀行の当座預金(準備預金)残高の影響が小さい理由については後日の記事で検証する予定です。