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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

医療制度改革を頑健な人に任せてはいけない

4/16の衆議院予算委員会で、麻生財務大臣と中田議員は、医療保険財政を維持するためには、健康であれば健康保険料が還付されるような金銭的インセンティブの導入が必要、と発言しました。

以前に同趣旨の発言をした際には倫理的な問題として騒がれましたが、問題の本質はそこではなく、金銭的インセンティブの効果に対する認識にあります。

麻生大臣は自分が「72歳で病院に行ったことがほとんどない」のは「朝歩いたり腹筋や腕立て」した結果と認識しています。これは事実なのでしょうが、個々人のエピソードを一般化する際に考慮しなければならないのは、人の行動の大部分は自由意思ではなく持って生まれた遺伝的資質と環境によるもの、ということです。麻生大臣とは異なる遺伝子と環境の人々に、麻生大臣と同じ行動を取れと言っても意味がありません。

また、近年の研究では、金銭的インセンティブの健康的行動促進・医療費削減効果は小さいことが判明しています。「成人男子は喫煙・飲酒が当然」という社会環境(一昔前の日本もそうでした)における禁煙・節酒や、加工食品の大半に大量の糖分が添加されている環境(⇒過食・肥満化)[1]での健康的食生活は極めて困難であり、これを自由意思の結果・自己責任と切り捨てても何ら有効な政策には結びつきません。個々人ではなく社会環境をターゲットにしなければならないということです。

このような専門的知見が無視され、素人考えが政策論議の場にゾンビのごとくはびこり続けるのは困ったことです。

医療制度改革は必要性が叫ばれる一方で、政治家が真剣に取り組んでいるようには見えませんが、その一因は、彼らが人並み以上に頑健で医療の必要性を本心では感じていないからかもしれません(少なくとも麻生大臣と中田議員は人並み以上に精力に溢れているように見えます)。そういえば、吉田兼好は『徒然草』 で、「病なく身つよき人」は「友とするに悪き者」と記していましたが。

 

[1]Salt Sugar Fat: How the Food Giants Hooked Us(Michael Moss)

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Fat Chance: Beating the Odds Against Sugar, Processed Food, Obesity, and Disease

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Fat Chance: The bitter truth about sugar

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この内容に関する質疑応答は1:49~

 
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