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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

安直な経済診断が罷り通る恐怖

財政・国債

ラインハートとロゴフ(RR)の「対GDP比90%を超える政府債務は経済成長率を引き下げる」ことを示唆する論文の再検証が進められています。検証者が指摘するのが、RRは対象となる国・年の成長に関与した固有の要因は一切考慮せず、2つのデータ系列を比較するだけで結論を導き出していたことです。

ここでは、RRが「高債務→低成長」の適例としたアメリカとニュージーランドのケースについて見てみます。

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グラフが示すように、連邦債務の対GDP比が120%を超えた1946年には、アメリカの実質成長率は大恐慌時並みの-11%となっています。しかし、クルーグマンなどがかなり前から指摘していますが、これは1945年8月の日本降伏後の戦時経済から平時経済への転換(戦時動員態勢の解除)に伴う一時的な生産減少であり、連邦債務とは何の関係もありません。

また、RR論文の結果を大きく歪めた1951年のニュージーランド(-7.6%、RRは-7.9%として計算)ですが、これは総人口の1%以上の労働者が参加した151日間に及ぶ大規模な港湾労働争議や羊毛価格下落によるという指摘があります。

1946年のアメリカも1951年のニュージーランドも、大幅なマイナス成長は固有の特殊要因によるものであり、「対GDP比90%を超える政府債務は経済成長率を引き下げる」ことが普遍的に成り立つことの根拠になり得ないことは明らかです。

国民生活を大きく左右するマクロ経済政策が、これほどいい加減な論文に影響されていたとすると恐ろしいことです。

 

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