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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

MRIインターナショナルで和牛オーナーシステムを思い出す

知人から、1300億円の預かり資産を消失させたとされるMRIインターナショナルの診療報酬債権(medical account receivables)について聞かれたので簡単に書いてみます。

アメリカでは、医療機関は患者の医療費を民間保険会社(HMO : Health Maintenance Oragnization)や政府・州の保険(Medicare, Medicaid)等に請求します。しかし、請求内容の審査に時間を要することや、請求内容に疑義があるとして保険に支払いを拒否されるリスクがあることから、医療機関に代わって医療費を保険から回収するビジネスが発達しています。通常、医療機関はキャッシュの回収に2週間~半年程度を要しますが、診療報酬債権を債権回収会社に売却すると、1~3日後には債権回収会社から約8割の額が支払われます。その後、債権回収会社が保険から支払いを受けると、残り約2割から手数料を引いた額が医療機関に支払われます。

MRIインターナショナルの金融商品は、債権回収会社キャッシュフロー証券化したものと考えられます。手数料は年率換算で10%以上が普通なので、ドル建てで6~8%の利回りは荒唐無稽なものではありません。アメリカではあり得ない金融商品ではなかったために、「自信のある素人」が多数ひっかかったのかもしれません。

書きながら思い出したのが、1990年代半ばのオレンジ共済と和牛オーナーシステムです。どちらもあり得ない高利回りを大々的に広告していたため、「これは絶対に事件化する」とかなり早い段階から周辺の人々に予告していたことを思い出しました。これらと比べると、MRIインターナショナルは多少は洗練されていたようです。

なお、日本でアメリカを真似て診療報酬債権の証券化ビジネスを展開しようとする業者がいますが、まったくお勧めできません。 日本はアメリカと違い、医療機関の請求先が公的医療保険でほぼ一本化されているため、キャッシュの支払い日や審査基準がほぼ統一されており、医療機関が第三者に代行してもらう必要性が乏しいためです。もっとも、日本の医療を金儲けの場にすることをもくろむアメリカの金融保険業界の圧力によって、国民皆保険が形骸化してしまった後なら話は別ですが。