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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

"Lean In"に警鐘を鳴らす元リーマン女性CFO

人口・少子化

5/9の記事(女性手帳バッシャーが見たくない「不都合な真実」)では、子供を産むのが難しい年齢になってしまってから慌て出す、仕事にのめり込んだ("Lean In"した)女性(高学歴が多い)の例として、自分の経験に基づき、少子化や子育て問題に熱心に取り組む野田聖子衆議院議員を示しました。今回はアメリカ版です。

2008年に経営破綻したアメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズのCFOとして脚光を浴びていたエリン・キャランが、シェリル・サンドバーグフェイスブックCOO)の"Lean In"運動に警鐘を鳴らす内容のオピニオンをニューヨーク・タイムズ紙に3月に寄稿しています。

テレビのインタビューにも応じています。

rockcenter.nbcnews.com

ウォールストリートで猛烈に働いたことで、「ガラスの天井」 を突き破って高報酬を得るなど、得るものは大きかったわけですが、その代償として、家族(前夫とは離婚)、子供(養子のみ)、友人関係などを犠牲にしてしまったことを振り返り、自分を反面教師にするようにと、サンドバーグに煽られる若い女性にメッセージを送っています。

数年前から体外受精を試みているそうですが、47歳という年齢を考慮すると、ウォールストリートで得た大金の力をもってしても難しいでしょう。過ぎ去った時間と若さはカネでは買えません

NBC記事の末尾にある、自分こそフェミニスト的だという言葉も示唆に富みます。

“I think it’s incredibly feminist what I’m saying because I’m saying it’s up to you. It’s your choice. Don’t let someone else tell you whatt[sic] to do. Don’t let someone else make you feel bad.”

最後に私見を付け加えておくと、自由な選択は自己責任と結びつきますが、自己責任を問うためには、事前に十分な情報が与えられていることが必要です。キャランのいた金融業界を例にすると、投資家に自己責任を問うのであれば、金融商品の内容、特にリスクとリターンについて十分に理解させておかなければなりません。(これを意図的に怠って高リスク商品を売りまくった結果が、金融バブルの膨張とその破裂です。)*1

女性手帳の目的の一つは、野田議員のように、情報を与えられなかったために「被害」 を受ける人を減らすことだと思われます。これに反対する人の一部の心の底には、

  • 「被害者」が多いほど自分が優越感を味わえる
  • 自分と同じ「被害」を他人にも味わわせたい

という"Schadenfreude"があるように思えてなりませんが、勘繰り過ぎでしょうか。

Lean In: Women, Work, and the Will to Lead

Lean In: Women, Work, and the Will to Lead

Lean In: Women, Work, and the Will to Lead

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追記

回想録が出ました。

www.businessinsider.com

Full Circle: A Memoir of Leaning in Too Far and the Journey Back

Full Circle: A Memoir of Leaning in Too Far and the Journey Back

*1:十分な情報を与えられなかった結果、大損したことを「自己責任」と切り捨てられる庶民の怒りを描いた映画については、「映画『ウォールストリート攻撃』と病めるアメリカ」を。