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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

賃下げか円安か、それが問題だ(った)

半年前に比べて、月給を20%下げられたと想像してください。40万円の人ならマイナス8万円ですから、生活が相当苦しくなるはずで、そんな事態は想像したくない、という人が大半でしょう。

しかし、グローバル市場においては、皆さんの月給は既に20%下げられています。半年前の1ドル=80円では月給40万円=5000ドルが、現在の1ドル=100円なら4000ドルですから、5000ドル→4000ドルに給与は大幅ダウンしています。もっとも、8万円下げられた場合のような生活苦に陥っている人は皆無な反面、「円安→企業業績の顕著な改善→株高」によって所得・資産を増やした人は結構いるでしょう。

円安の効果がこれほど劇的とは思っていなかった人がほとんどではないでしょうか。

輸出産業の国際競争力を決めるのは外貨換算したコストですから、企業は与えられた条件(為替レート)に応じて円建て給与水準を決めます。したがって、政府・日銀が為替レートを変化させれば、円建て給与水準も変化します。政府・日銀が円安を実現することが、賃下げトレンドを反転させる必要条件ということです。仮に1ドル=105円にまで円安が進めば、ドル建て月給4000ドルへの20%ダウンと円建て月給42万円への5%アップを両立させることが可能になります。

 「そんな当たり前のことはいちいち説明されなくても分かる」、というのは、これが起こった後だから言えることです。私には2000年頃から経済誌記者から経済通とされる政治家にまで「デフレ脱却には円安が必要」と説明した経験がありますが、真剣に考えようとした人の数は限りなくゼロに近いものでした。

人間には起こった事象を「必然だった・分かっていた」と思い込んでしまう心理バイアスがありますが、そのことを自覚しておかないと、将来、日本経済に新たな問題が発生した際に、後になったら自明に見える解決策を考えつかない、という同じ過ちを繰り返すことになるでしょう。

 

追記1

下のリンク先記事は、生産の海外シフトが進んだ電機産業では円安による増収増益効果(2013年3月期決算)が小さかったことを根拠に、円安に否定的です。

そういえば最近、退職金と年金を元手にマレーシアで余生を送る私の知人が、帰国を考えているとメールで伝えてきた。現地での生活費の負担が重くなっているという。円安って、やっぱり寂しい。

しかし、1ドル=110円程度の水準が定着すれば、電機産業も「私の知人」のように国内回帰してきます。円高のために海外に流出していた生産・雇用・所得が国内に戻ってくることが「寂しい」というのは一体どういう心理なのでしょうか。

国際競争にさらされず(例:新聞記者)、所得が安定した人にとっては、海外旅行に安く行ける円高が望ましいのかもしれませんし、あるいは、他人の所得増加によって自分の所得水準が相対的に低下することへの反発かもしれません。

 

追記2

円安に良いことは1つもない/賃下げを断行せよ、と叫ぶトンデモエコノミスト

 

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