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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

重要な政策ほど後になる理由

政治・歴史・社会 人口・少子化

「女性手帳 」への批判の一つに「こんなどうでもいいことをやる前に、もっと重要な(根本的な)問題を解決するべき」というものがあります。5/12の記事(女性手帳バッシャーが見たくない「不都合な真実」)で論評した記事も、そのような批判的トーンで書かれています。

しかしながら、重要度の低い政策ほど先に打ち出されることが必然であることを考慮すると、このような批判は的を外しているとしか言えません。以下、その理由を説明します。

部下(1人または少人数のグループ)に課題の遂行を命じたとします。しばらくして状況を確認すると、部下は重要度が高いタスクを後回しにして、重要度が低いタスクにかかりっきりになっていました。上司は「重要度が低いタスクは後回しにして、重要度が高いタスクに先に取り掛かれ」と指導するでしょう。重要度に応じて優先順位を変えるのは、仕事における定石です。

政府を批判する人たちには「政府=仕事の定石が分かっていない部下」に見えるのでしょうが、政府は1人や少人数のグループではない、という現実を見落としてはいけません。政府は各々担当範囲が定められた多数のセクションの集合体であるため、「重要度が高いタスクを優先」という定石に従って動くのは、政府全体ではなく各セクションです。

少子化対策のような極めて包括的な課題の場合、重要度が高いタスクほど複数のセクションが協力して複雑な調整を行わなければならないため、どうしても政策としてまとまるまでに時間を要します(関係者へのヒアリング、法令、予算、実施体制の準備、etc...)。一方、重要度が低いタスクでは、「女性手帳」のようにアイデアをまとめるだけで一丁上がりです。

各省庁に一斉に「少子化対策に必要な政策を立案せよ」と指令を下し、各セクションがまじめに仕事に取り組むと、簡単に立案できる政策=重要度の低いタスクほど先行し、重要だが複雑な政策が後回しになってしまうのは必然なのです。まじめに仕事に取り組んだことを非難されては官僚はやってられません(官僚がまじめに少子化対策に取り組んでいるかは定かではありませんが)。

5/12に論評した記事では、

  • 待機児童を速やかになくす(保育の質を下げないで)
  • 非正規・不安定雇用についている厳しい規制をかけて、働きながら子育てが安定してできる生活を保障する
  • 男女ともに若い世代が抱える将来不安と貧困を解消する
  • 諸外国・特にヨーロッパ諸国に比べてあまりに高すぎる日本の教育費をどうにかする

などの政策を政府に求めていますが、これらと女性手帳のどちらが先に実現できるかは自明です(女性手帳を導入せよ、と主張しているわけではありません)。

良くも悪くも、日本の経済社会は複雑高度に出来上がったシステムであり、大規模なシステム変更が一朝一夕にできるはずがありません。まずは出来るところから地道に着手していく、というのが現実的な解決策でしょう。

それが生温いと言うのなら、革命するしかないでしょう。