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女性役員登用に執着するヨーロッパの天動説的イデオロギーの危険性

成長戦略の三本柱の一つに「女性の活躍」が入ったこともあって、企業の役員に女性登用を促す空気が強まっています。これが単なる"political correctness"ではない経済合理的なものであることをアピールするために、「女性役員が多い企業は業績が良い」という統計調査が喧伝されています。


女性役員がいると“勝ち組”企業になれる? 〈週刊朝日〉|dot.ドット 朝日新聞出版

しかしながら、「女性役員が多い→業績好調」という相関関係が「女性役員を増やす→業績が改善する」という因果関係を意味するわけではありません。業績好調企業がメセナフィランソロピーなどの社会的貢献をアピールするように、「業績好調→女性の役員登用に積極的になる」という逆の因果関係も考えられます(Facebookシェリル・サンドバーグをCOOに登用したのが好例という声も聞かれます)。 

それどころか、女性役員の増加は企業業績にネガティブという研究もあります。役員の40%を女性にするクォータ(割り当て制)が導入されたノルウェーでは、経験不足の役員が増えたことが企業価値を低下させたと報告されています。


Let's Not Oversell the Financial Benefits of Having Women on Corporate Boards - The Atlantic

上の記事中のAdams and Ferreira論文に関する記事はこちら。


Schumpeter: Skirting the issue | The Economist


If women ruled boards - Telegraph

要するに、女性役員を増やすことが企業業績を向上させるという合理的根拠は存在していないのです。それにもかかわらず、ヨーロッパでは経験・実績不足でも女性であれば役員昇格に有利になるクォータ導入(affirmative action)が進められています。この強引な政策の背後にあるのが、移民の大量受け入れと共通する強烈なイデオロギーです。


Germany Rejects Law Requiring Board Quotas - SPIEGEL ONLINE

そのイデオロギーとは、「人間には先天的な差が無い」ことを公理とするものです。この公理から「集団が特定の人々に偏る→差別」が導かれます。「ヨーロッパ人で構成される社会」も差別、「男性に偏った役員会」も差別、ということです。必然的に「差別撤廃→集団の構成が偏らないように強制する」ことが政策となります(移民の大量受け入れ、女性役員のクォータ)。地球が宇宙の中心にあることを公理として組み立てられた天動説のようなもので、事実の積み重ねによって妥当性を検証する科学的思考とは対極にあるものです。

「人間には先天的な差が無い」という公理が現実と合致していれば問題はないのですが、どう見てもそうではないことは、男女平等が進んでいる北欧の現実からも明らかです。下のリンク先にあるPDFファイルの62~65ページにはスウェーデンの職種別男女比が掲載されていますが、女性は対人サービス、男性は機械やコンピュータあるいは金融市場などの非人間(各種システム)相手の職業に偏る傾向が見られます。進化生物学では、これは先天的な男女の差によるものと考えられています(集団としての差)。

この事実からは、企業組織の運営が対人サービスに類似していれば女性役員の増加は業績にプラスの可能性が高く、システム操作に類似していればマイナスの可能性が高いと推測できますが、実際にはやってみなければ分かりません。地動説が長年に渡る天体観測の結果から事実と証明されたように、女性役員の業績向上効果も事実の積み重ねによって証明していくべきでしょう。

日本への政策的インプリケーションですが、不確かな統計調査やヨーロッパの天動説的イデオロギーに煽られて女性役員増加を目標にするよりも、男女を問わずワーク・ライフ・バランスの改善を目指す方が、より多くの国民にとってプラスです。北欧から学ぶとすれば、過激なイデオロギーではなく、「ワーク・ライフ・バランスの改善は経済水準を高める」ということでしょう。なぜこれが可能かについては、別の機会に解説します。

 

参考記事


ワタミ社内文書入手渡辺美樹会長が「365日24時間死ぬまで働け」 | スクープ速報 - 週刊文春WEB