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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

インフレが景気に悪い理由

アベノミクス

一つの前の記事【アベノミクス成功に必要な構造改革とは】では英国人エコノミストSmithersのアベノミクス分析を紹介しましたが、そのうち、インフレ率2%を目指すアベノミクス日本銀行と真っ向から対立する「インフレはマイナス要因」について補足説明します。

「大胆な金融緩和によるデフレ脱却」を唱える論者(の多く)が、デフレが日本経済の長期停滞の原因であるため、大量のマネーを経済に注入してインフレに誘導すれば停滞から脱することができる、と主張しています。

これは、インフレ率が+0.5%と-0.5%では企業や消費者の行動が劇的に異なる、と想定していることを意味します。しかし、インフレ率がゼロ近辺では企業や消費者が購入する財・サービスには値上がりするものもあれば値下がりするものもあります。たとえば「6割が値下がり・4割が値上がり・総合物価指数はマイルドなデフレ」の状態から「4割が値下がり・6割が値上がり・総合物価指数はマイルドなインフレ」の状態への移行が需要の劇的な増大を誘発するとは考えにくいでしょう。+1%と+2%に大差がないのと同じことです。「ゼロより上か下か」に過度に拘ることには意味がありません。

最も分かりやすい例がエネルギー価格の上昇です。エネルギー価格は国際市況と為替レートによって決まるため、国内の景気動向とはほとんど無関係です。内需の低迷を反映して1%のデフレの時に、エネルギー価格の急騰によってインフレ率が+1%に跳ね上がったとします。これが経済にとって需要を刺激するプラス材料ではなく、実質所得減少→実質消費減少を招くマイナス材料であることは明らかでしょう*1。実際、過去の統計もこれを支持しています。Smithersはこのことに警鐘を鳴らしているのです。

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3/19の記事【「インフレ誘導で経済再生」の論点整理】に書きましたが、インフレ率はあくまでも需要の強さを示すバロメーターとして用い、所得増加→需要増加の結果としてデフレ脱却を実現するべきです。そのためには、円高による賃下げ圧力を円安によって解消し、企業部門に滞留する巨額の資金が家計に流れるようにすることで、内需の最大構成要素である家計消費支出の伸び率を高めることが効果的でしょう。*2

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*1:消費税率引き上げに同じ効果があることには要注意です。

*2:1998年度から2012年度までの年平均伸び率は名目0.0%、実質0.9%に過ぎません。