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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

銀行の負債・政府の負債・政府の責任

財政・国債 金融

8/9【政府の負債という「幽霊」を恐れる愚】の補足です。

銀行が企業や家計の資金需要を満たすために貸し出せば、銀行には資産=貸出金と同時に負債=預金が生まれます(信用創造)。銀行が貸出を増やせば負債も増えますが、それを「銀行の破綻リスクが高まっている」と捉える人はまずいないでしょう。むしろ、銀行の負債(預金)増大は市中のマネーを増やして経済成長を促すポジティブなものです。このことを理解せず、「負債」という言葉に過剰反応して「破綻回避」のために貸出を抑制・回収すれば、信用収縮(credit crunch)が起こって経済全体が危機に陥ります。

では、政府が公共事業の資金を中央銀行国債を買い取らせて調達した場合はどうでしょうか*1。政府の負債=国債は増えますが、同時に企業や家計の資産(と所得)も増えます。これは政府の国債発行が銀行貸出と本質的に同じであることを意味しています。国債発行と歳出の抑制=貸し渋り増税による国債償還=貸出圧縮ということです。

8/29【通貨をいくらでも発行できることを忘れた政府(歌を忘れたカナリヤ?)】では、通貨発行は本来は政府の特権であることを述べましたが、これは、政府には経済全体に対して適切な通貨量供給の責任があることを意味します。

現代の通貨制度では、マネーは主に銀行の信用創造(預金の創造)から生まれますが、政府(&中央銀行)の通貨発行力が失われたわけではありません。銀行が供給する預金だけでは経済が総需要不足から脱け出せないのであれば、国債を発行してマネーと総需要の不足を解消することは政府の責任です*2国債発行残高の増加は財政破綻リスクの高まりを意味しません*3

増税=マネーの市中からの回収を叫ぶことは、銀行に「経営の健全化のために貸出を回収せよ」と求めることと同じなのですが、それが現在の経済状況における政府の「責任ある行動」と言えるでしょうか。

 

追記:より現実的な説明は9/8【国債がデフォルトしないことの常識的な説明】で行っています。

*1:市中経由での買い入れでも同じこと。

*2:江戸時代なら、幕府が貨幣を改鋳して市中のマネーストックを増やすことに相当します。

*3:預金増加が銀行の経営破綻リスクの高まりを意味しないのと同じこと。