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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

家計に消費税率引き上げに耐える余力はあるか

8/29の日本経済新聞「大機小機」は「消費増税の断行を」でした。

  1. 銀行の財務状況が改善している。
  2. 需要減少(デフレ)効果が97年よりも小さい。
  3. 企業の三つの過剰(借金、人員、設備)が解消している。内部留保は過去最大。

が消費税率引き上げを正当化する根拠として示されています。

しかし、消費税は直接的には家計に影響するものであり、銀行や企業の財務改善とは直接の関係はありません。消費税率引き上げが家計消費に悪影響を及ぼすか否かは、家計の支出余力を見なければ判断できません。

そこで、支出余力の指標として家計貯蓄率と資金過不足を見ると、1997年よりも悪化していることが歴然としています。家計貯蓄率は2011年度までのデータなので足元の状況は不明ですが、劇的に上昇していないことはほぼ確実です。

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経済が順調に成長している状況では、家計は資金余剰、企業は資金不足が普通ですが、企業は依然として資金余剰(→賃金を削減して借入金返済と内部留保積み上げに充てる)を続ける一方で、家計の資金余剰幅は30年前の水準に逆戻りしています。

景気に配慮するのであれば、支出余力の乏しい家計からではなく、資金余剰の企業から税金を取るべきなのですが、むしろ法人税減税が叫ばれる始末です*1。カネ余りの企業にキャッシュバックする一方で、所得減少に苦しむ家計から税金を取り立てることは非合理的なはずなのですが。

神風が吹いて消費税率引き上げのマイナス効果を吹き飛ばしてくれればよいのですが、大東亜戦争の時のように、それに期待してはならないでしょう。「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として。二度目は笑劇として」が現実化する嫌な予感がしてきました。

 

[参考]

下のリンク先記事と、その基になっているクレディスイスの「日本経済分析 第42号 消費税増税の経済インパクト・レビュー」は的確です。