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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

米軍と太陽光発電のテイクオフ?

9/3【ロンドンにソーラ・システム出現?】で太陽光発電の最近の展開について思い出したので忘れない間に書いておきます。

小泉元総理大臣の「原発ゼロ」を実現するためには、自然(再生可能)エネルギーの低コスト化がカギを握ると考えられます(あるいは新型原子力ですがここでは論じません)。

「必要は発明の母って言うだろ? 敗戦、石油ショック、東日本大震災。ピンチはチャンス。自然を資源にする循環型社会を、日本がつくりゃいい」

無尽蔵なエネルギーといえば太陽光ですが、2年前の政府のエネルギー・環境会議の『コスト等検証委員会報告書』では、コスト的に不利と試算されています。

いち早く脱原発再生可能エネルギーシフトしたドイツでも、太陽電池メーカーのQセルズの破産(韓国ハンファグループが買収)や電力コストアップなどの問題が生じており、前途多難なようです。

しかし、最近になって、太陽光発電の実用化が近づいたのではないか、という見方がアメリカなどで強まっており、儲け話には敏感な投資銀行からレポートが発表されるようになっています*1。ドイツが「人柱」になってくれたおかげで、後続する国々には低コストで太陽光発電を導入できる目算が立ってきたということです。

太陽電池の性能だけでなく、設置や事務コストの削減余地が大きいとの指摘もあります。

アメリカで注目されるのは、軍が太陽光発電に積極的なことです。たとえば海兵隊では、パトロール中の兵士の装備に必要な電力を太陽電池で賄う計画が進められています。

下のリンク先は上の記事に登場するレポートです。太陽エネルギー業界の作成したレポートなのでポジショントークが含まれている可能性がありますが、興味深い内容です。

原子力エネルギー(マンハッタン計画) 、航空機、衛星・GPS、インターネット、スーパーコンピュータ、ロボット等々、人類の生活を変えた画期的テクノロジーを米軍予算が支えてきたことは、太陽光発電でも飛躍的イノベーションが起きる可能性を予感させます。 

事業仕分けに見られたように、近年の日本では政府支出の「無駄」に極めてうるさくなっていますが、研究開発における無駄とは「失敗を恐れて消極的になる」ことであり、「思い切ってやってみたが結果的に失敗した」ことは無駄ではありません。政府の研究開発支出を削ったり、研究者に短期的成果を求めるようでは、情報通信分野に続き、エネルギー分野でもイノベーション競争に敗れることになりかねないことが懸念されます。

変われる国・日本へ イノベート・ニッポン (アスキー新書)

変われる国・日本へ イノベート・ニッポン (アスキー新書)

 [p.66~69]

イノベーションには、「死の谷」 と言われているものがあります。研究開発をしてから儲けを出すまでの時間のことですが、これがインフラ型ほど長いのです。

[中略]

そうなると問題になってくるのは、いったい誰がその間のおカネを出すかということです。[中略]大企業は株主に誠実であろうとすればするほど、深い死の谷を渡ることができない、ということです。

[中略]

それではどうやって渡るのかというと、結論として、インターネットの場合、「死の谷」に橋をかけた――つまりおカネを出したのは、米国国防省ということになります。国家が軍事研究費として予算を大量に投入したということです。

米国はそういうことがよくわかっています。イノベーションとか、インフラ・イノベーションをどう作るかということに対しての理論的な研究は、世界で最も進んでいる国ですから。そういうものは民間会社だけでやるのは無理だということで、国家資金を大量投入するという形に持っていくわけです。そのために使うのが軍事研究費です。軍事研究費は収益性や短期的な成果を会計検査院からうるさく求められないので、使いやすいのです。

[p.76]

アメリカでは、民間まで含めて全体の研究開発費の実に半分を、軍事予算が何らかの形で支えているという説もあるように、決して戦車や大砲を開発しているだけではないのです。国の産業競争力というのは国防の一部といえば、それで名目は立つわけです。

*1:欧米の金融業界はリスクとコストの分析に基づき、福島第一原発事故前から軽水炉発電には否定的でした。