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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

日本銀行の金融緩和はマネタイゼーションか

日本銀行が新発国債の7割を購入する量的・質的金融緩和の本質を、デット・マネタイゼーション(中央銀行による財政赤字のファイナンス)とする見方があります。*1

アベノミクスの本質が財政支出拡大と事実上のマネタイゼーションであるうちは、日本株にはまだ上値余地があるだろう。

確かに、預金取扱機関(主に銀行)の政府向け信用が減少する一方で、日銀の政府向け信用は急増しており、日銀が銀行に代わって財政赤字のファイナンスに乗り出したようにも見えます。

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しかし、預金取扱機関の内訳をみると、政府向け信用が中央銀行向け信用に置き換わっているだけで、合算するとトレンドに変化はありません。

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量的緩和は、銀行等の政府向け信用の一部を、銀行等の日銀向け信用+日銀の政府向け信用に置き換えるもので、日銀が直接的にマネーストックを増やしているわけではないため、デット・マネタイゼーションには当たらないと言えるでしょう。(参考【「量的・質的金融緩和」の現状確認】)

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日本と同じく量的緩和中のアメリカでも、Fedが連邦政府債務をマネタイズしているとの見方がありますが、セントルイス連銀のエコノミストはこれを否定しています。

What is usually meant by “monetizing the debt,” however, is the use of money creation as a permanent source of financing for government spending.

 If, on the other hand, the recent increase in Fed Treasury debt holdings is only temporary (an unusually large acquisition in response to an unusually large recession), then the public must expect that the monetary base at some point will return to a more normal level (through sales of securities or by letting the securities mature without replacing them). Under this latter scenario, the Fed is not monetizing government debt—it is simply managing the supply of the monetary base in accordance with the goals set by its dual mandate.

マネタイゼーションは、中央銀行による恒久的なマネー供給(⇔政府債務の保有)を意味するが、Fedのバランスシート拡大は一時的なものであるため、マネタイゼーションには当たらない、というロジックです。

このロジックは日本にも当てはまります。2014年末のマネタリーベース残高の対GDP比は50%を超える見通しですが、日本経済がノーマルな状態に回復すれば、日銀は保有する国債を市中に売却してその水準を低下させることがほぼ確実です。

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デット・マネタイゼーションという言葉は、財政が危険水域に入ったことや、日銀が禁じ手を使っていることをイメージさせますが、日本のジンバブエ*2・ハイパーインフレは杞憂ということです。

*1:某金融機関の国債運用担当者は、日銀の国債買い占めを「民業圧迫」とぼやいていました。

*2:Abenomics≠Mugabenomics