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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

国民医療費を10兆円削減する方法

社会保障

消費税率引き上げが必要とされたのは、高齢化社会における社会保障の安定財源を確保するためです。

www.mof.go.jp

社会保障改革と一体的に実施する今回の税制抜本改革の最大の柱は、社会保障財源を確保するための消費税率の引上げである。消費税は、高い財源調達力を有し、税収が経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく安定していることに加え、勤労世代など特定の者へ負担が集中せず、経済活動に与える歪みが小さいという特徴を持っている。社会保険料など勤労世代の負担が既に年々高まりつつある中で、こうした特徴を持ち、幅広い国民が負担する消費税は、高齢化社会における社会保障の安定財源としてふさわしいと考えられる。

年金財政はマクロ経済スライドの導入によって約100年間の収支均衡が取れたので、今後の焦点は医療と介護になります。特に、2013年の国民医療費が40兆円を超す見通しの医療制度改革は不可避です。

とはいえ、医療費増加は経済成長に付随した必然的現象であるため、医療費削減には発想の転換が必要になります。

totb.hatenablog.com

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注目するべきは、医療費の人口分布が冪乗則に従っていることです。 国民1人1人を医療費の多い順に並べると、上位1%が総医療費の3割弱、上位3%が約5割、上位10%が約7割、上位20%が約8割を占めています。*1

医療費が「20:80」のパレートの法則に従っていることは、上位の少数にターゲットを絞ることが効果的であることを意味します。

健康保険組合連合会の「平成24年度高額レセプト上位の概要」によると、1か月の医療費の上位は、

  1. 8481万1650円(血友病A)
  2. 5235万5610円(後天性血友病A)
  3. 4943万9860円(血友病A)
  4. 4842万5510円(血友病A)
  5. 4105万8410円(血友病B)
  6. 3578万6390円(血友病A)
  7. 3450万3840円(血友病B)
  8. 3281万6920円(重症心不全
  9. 2767万2400円(血友病B)
  10. 2656万4370円(完全大血管転移症)

となっています。国民の平均医療費が約30万円であることと比べると、ごく一部の患者(その多くが難病や先天性疾患)が医療費の多くを消費していることが分かります。主傷病名からは、超高額患者の多くがその後も多額の医療費を消費することが予想されます。*2

このことは、少数の高額医療患者への医療を止めることが医療費削減に効果的であることを意味します。仮に、上位1%への医療を止めれば、年間約10兆円が削減できます*3。10兆円のために国民の1%を見捨てる悪魔の選択(トレードオフ)です。

もちろん、このようなことは人道的に認められませんが、公的資金を使う以上、費用対効果を勘案してどこかに線を引くことが必要という政策的インプリケーションが得られます。医療技術の発達は、回復の見込みも意識もない患者を生かし続けることを可能にしましたが、それは、別の患者に投入されるリソースの減少を意味します*4。これでは日本経済も医療制度も維持できず、共倒れになるだけです。

日本では「一人の生命は地球より重い」という建前のためか、医療の止め時に関する議論が忌避されてきました。しかし、これは一部の専門家と官僚に任せておくべきことではないはずです。現実を直視した国民的議論を始める必要があるでしょう。

totb.hatenablog.com

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*1:国内外の調査結果からモデル化したもので、現在の日本とは完全に一致しませんが、本記事の主旨には影響しません。なお、費用が平均的に発生しないことが、保険が必要とされる理由です。

*2:詳細が知りたい人はネット検索してください。

*3:患者が全額自己負担で医療を受ければ、国民医療費は減りませんが、公的給付は削減できます。

*4:このことに疑問を呈する医師は多くいます。