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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

中央銀行のバランスシート拡大の効果:スイスの例

金融

10/17【再び貨幣乗数と量的緩和について】と10/29【日本銀行批判と新自由主義】では、中央銀行のバランスシート拡大は予想インフレ率とは無関係とするFedバーナンキ議長やBISのレビューを紹介しました。

…there’s no strong evidence that there are any increases in inflation expectations for that matter, … We want to be sure that there’s no misunderstanding, that there’s no effect on inflation expectations from the size of our balance sheet.

… the asset purchase programmes that were launched after the acute phase of the crisis were not associated with expectations of major future upward shifts in inflation. 

今回は、日米英を大幅に上回るバランスシート拡大をしたスイスの現状を見てみます。

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スイスのマネタリーベースの急増は2011年8月から始まりましたが、これは、スイス国立銀行SNB)がスイスフランの急激な高騰を抑制するために、8月3日から当座預金残高の増額、9月6日からはユーロの下限を1.20スイスフランに設定して無制限スイスフラン売り介入を開始した結果です。買入れ資産が外貨建て資産である点が、日米英(国債など自国通貨建て有価証券)と異なります。

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2008年末~と2011年8月~の当座預金残高の激増がインフレ率を引き上げなかったことは明らかです。*1

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今夏以降、コアインフレ率がプラス転換を果たしていますが、これは、今年に入ってからのユーロ安圧力の弱まりを反映したものと考えられます。

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スイスから得られるインプリケーションは、

インフレ誘導に効果があるのは、中央銀行のバランスシート(または当座預金残高)拡大ではなく為替レートへのコミットメント

すなわち「マネーの量ではなく価格が重要」というものです。スイスの1978~79年の経験もこれを裏付けます。

日本の場合、1ドル=110円台の回復あるいは「ドルの下限を100円に設定して無制限介入宣言」があれば、速やかなインフレ転換が可能と考えられます。

 

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*1:2013年6月・7月のマネタリーベースと当座預金の急増は、PostFinanceが新たに集計対象に加わったことによるもの。