読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

医療と消費税の輸出免税

社会保障

来年4月の消費税率引き上げが、医療機関の経営を圧迫する可能性が指摘されています。

1989年の消費税導入以来、社会保険診療は高度の公共性を有することから非課税とされています。医療機関は税込み価格で仕入れる一方で、患者・保険者(健保や国保等)には税抜き価格(診療報酬)で請求します。消費税率引き上げによる仕入れ価格上昇が診療報酬に反映されなければ、医療機関が損失を蒙ることになってしまうわけです。

簡単な数値例を示します。

消費税導入前の診療報酬が1000点(10000円)の項目の仕入れ価格が5000円、医療機関の付加価値が5000円とします。ここに8%の消費税が適用されると、仕入れ価格は5400円になるので、診療報酬を10400円(+4%)にする必要があります。現行では、このような診療報酬上乗せで対応していることになっています。

しかしながら、膨大な診療報酬の項目ごとに適切な上乗せ率を求めることは困難なため、医療機関の不満が高まっているわけです。

この問題については、高額な設備投資に係る診療報酬への重点対応(厚生労働省のリンク先資料を参照)やゼロ税率適用(JBpress記事)などの解決策が提案されていますが、それよりも簡単で現実的なのが輸出免税と同じ扱いにすることです。 

  なお、輸出取引は消費税が免除されますが、それに対応する課税仕入れには消費税の額が含まれていることになります。

  この課税仕入れの金額には、商品などの棚卸資産の購入代金のほか、その輸出取引を行うのに必要な事務用品の購入や交際費、広告宣伝費などの経費や固定資産の購入代金なども含まれます。

  そのため、輸出の場合には課税仕入れに含まれる消費税相当額は申告の際に仕入税額控除の対象となります。

  特に、輸出専門の事業者の場合には、輸出の際に課税される消費税はありませんので、商品などを仕入れた際に支払った消費税の額の全額を申告により還付してもらうことができることになります。

上の引用文の「輸出」を「社会保険診療」に読み替えるだけで、「損税」の問題は解決します。下のリンク先記事で懸念されている軽減税率適用の「蟻の一穴」になる可能性も低いでしょう。

1989年の消費税導入の際に、当時の日本医師会が社会診療報酬の非課税化を強く主張したため、財務省にすれば「何を今さら」なのかもしれませんが、四半世紀も前のいきさつは水に流して、合理的かつ透明な解決を図ってもらいたいものです。

医療と消費税・追考:非課税と免税】に続く。