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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

日本経済を打開する「先富論」

アベノミクス

10/21【甘利大臣の「賃上げしない企業は恥ずかしい」発言とリベラリズムのマインドコントロール】では、安倍政権の賃上げ要請に対する反発やシニカルな反応を取り上げましたが、昨日(11月11日)のBS日テレ「深層NEWS」では近藤和行キャスターが賃上げ要請を熱く語り、ゲストの武藤敏郎大和総研理事長、元財務事務次官、元日銀副総裁)も同意していました。

[近藤]会う方々に言ってるんですけど、政府がやっている政労使会議で賃金引き上げを求めてます。これは、大概の人たちは、それは基本的には民間でやるべきことという話をされるんですけど、僕はそうじゃなくて、意味があると思うんです。異次元緩和にしろ何にしろ、デフレを脱却するためにはいろんなことをやらなきゃいけないと言っておきながら、ことこの問題に関しては、急に何か「急いでいるのに廊下を走ってはいけません」みたいな原則論・教科書論が出てきて「それは民間に任せるべきだ」、そこだけ何か教科書論を言う人が多いんですけど。

[武藤]幸いなことに、収益は増加してますから、その意味では環境は整ってるんで、経営者の中にはね、上げる方向で考えたいと言っている人たちはかなりおられますよね。ただし、大企業ですよね。中小企業はなかなか難しいと思う。それだけの競争力がまだないと思いますのでね。確かに、政労使のようなものをやるということは、デフレ的な状況でみんなが隣が上げないから私も上げるのを止めようと思っているような時には、みんなで背中を押してやると。これは有効だと思います。

[近藤]誰かが最初一転がししてやる意味でも、僕は非常に意味があることだと思ってるんですけど。

[武藤]それはそうだと思いますよ。

二人の認識は【安倍首相の賃上げ要請とクールビズ作戦】と共通しており、本質をついています。

問題は、武藤の指摘する中小企業ですが、大企業の賃上げは中小企業の賃上げの必要条件です。

日本のかなりの部分の中小企業と大企業は下請関係を通じて、ヒエラルキーを構成しています。後述する春闘はこのヒエラルキーを使って、上部から下部に賃金上昇が波及してゆきます。逆に下請から賃金を上げれば、そんなに余裕があるなら納入品の価格を下げろと言われかねません。そこで賃金上昇は大企業から中小への流れが自然ではあるのですが、一方で比較的恵まれた状況にある大企業が賃上げを先行するルートは、政治的心理的にはなかなか抵抗のあるところでしょう。

余裕のある大企業からのトリクルダウンが、中小企業の賃上げを可能にするわけです。これは、鄧小平の先富論(可能な者から先に裕福になれ。そして落伍した者を助けよ。)と同じ構図です。

企業部門が苦しかったのは1990年代であり、史上最長の景気回復が本格化した2003年以降は、賃上げ余力があったことはあまり理解されいないようです。

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ケインズ的な政府の財政政策は各部門が自己防衛のため貯蓄に走る状況で、全体としての貯蓄過剰、つまり合成の誤謬を打破するために行われます。このロジックから言えば、貯蓄過剰で内需不振をもたらした部門の第一は企業部門であり、その貯蓄を使うべきです。

大手新聞編集委員と元財務次官という「体制側」からも賃上げに肯定的な意見が出てきたことは歓迎すべき事態です。

 

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