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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

週刊ダイヤモンドの国債暴落特集

財政・国債

週刊ダイヤモンド10/19号の特集「日本国債のタブー」は、国債暴落を煽る典型的なものでした。

銀行の国債買入れによって預金が創造・供給されることを理解していないことが、引用文に示されています。

[p.50]

2008年の金融危機以降は国民が投資に消極的になり、銀行の預金が急増。日本の銀行はそのあり余った預金を、安全性の高い国債に大量に振り向けてきたことで、異常ともいえる高い国内保有比率を保ってきたのだ。

預金が大量に存在するから国債を国内で消化できるのではなく、国債を銀行が買入れるから預金が増加しているのです。2008年以降のマネーストック増加の大部分は国債発行増によるものです。

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民間や地方自治体の負債とは異なり、自国通貨建て国債は原理的にデフォルトしない=リスクフリーなので、発行残高増加は価格暴落・金利急騰に直結しません。過去15年間の暴落論とは逆に国債利回りが低下傾向にあるのは、

  1. 企業部門が資金余剰になった→需給バランスで企業の借入金利に低下圧力→国債利回り(リスクフリー金利)も低下
  2. デフレ・ディスインフレの定着

によるものです。

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従って、国債暴落・金利急騰が起こるとすれば、

  1. 企業が投資を積極化→企業部門が資金不足に→企業の借入金利上昇→引きずられて国債利回りも上昇
  2. 国債発行によるマネーの増加に日本経済の供給力の伸びが追いつかない→ディマンドプルインフレ

のシナリオになります。1.は日本経済の本格回復を意味する「良い金利上昇」ですが、2.は日本経済が供給不足に陥る「悪い金利上昇」です。将来的には高齢化による労働力人口減少によってこのシナリオが実現してしまう可能性がありますが、現時点ではマネーは過剰供給されていないため、心配は無用でしょう。

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このように、国債利回りが低空飛行を続けることは日本経済のファンダメンタルズを反映した自然なことなのですが、そのことを理解できない懲りない人々がいます。

[p.56]

 日本国債は過去に何度も売り崩しの標的になってきた。仕掛けるのはいつも海外のヘッジファンド勢だ。

<中略>

 その代表格が米ヘッジファンド「ヘイマン・キャピタル」の創業者、カイル・バス氏だ。サブプライムローンの空売りで大もうけし、次に目をつけたのが日本国債だった。

<中略>

 彼らの売り仕掛けは、これまでことごとく失敗、買い戻しを余儀なくされたこともあって、債券市場の関係者からはおおかみ少年とやゆされている。

 それでも、寄せては返す波のごとく、諦めて撤退したヘッジファンドに代わって、また新たなヘッジファンドが日本国債を空売りするという状況が続いている。

経済のイロハも分かっていなくても億万長者になれるぼろい商売です。

 

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