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「受診しなかったら報奨金」の医療費削減策に潜む「オプションの売り」リスク

社会保障

麻生財務大臣が11/14の参議院財政金融委員会で、医療費削減のアイデアを披露しました。

今七十歳で一人当たりの医療費というのは八十何万とか百万とか、県によって違ったりしますので、幾つか、平均がなかなか難しいところですけれども、するとしますよ。全然来なかったやつは偉いと、やると、金を。その分だけ、仮に月々二万円だとして二十四万円一応出したとしますよ。そうすると、差額は八十何万円ですから、それで六十万、国としては歳出が減るわけですよ。二十四万、全部別の手当てが要りますよ。だけど、少なくとも社会保険関係が六十何万円助かりますから、それだったら、国トータルの経営としてはそっちの方がうまくいきますし、ちょっと病院に行こうかなと思って、あっ、二万円来ると思ったら、葛根湯飲んで我慢しようとか、いろいろそれなりに考えるでしょうが。そういうようなインセンティブが働いて、俺も歩いた方が月々二万円来るとなったら、一杯飲めるなとかいろんなことを考えられる方もいらっしゃるし、<後略>

11/22放送のBS4深層NEWS「検証!医療負担の行方 田村厚労大臣と舛添氏」でも、舛添元厚生労働大臣が同じようなことを言っていました。

しかしながら、報奨金で受診抑制を図るこの方法は、結果的には高くつく可能性が大きいと考えられます。

機械や道路や橋梁などでは、こまめにメンテナンスを行った方が、重大な欠陥発生を予防できるため、結果的には安上がりになります。

The failure to pay attention to basic maintenance needs has led to much more significant losses of life across the world.

人間の体も同じで、素人診断でメンテナンスを怠れば、早期発見の遅れ→重症化→多額の医療費発生、となりかねないわけです。目先の小銭稼ぎに目が眩んでオプションの売りポジション(プレミアム受取)を取ったところ、相場の急変で莫大な損失を蒙ってしまうことと同じ構図です。

国民医療費を10兆円削減する方法】で説明したように、8割の軽症者の医療費は全体の2割に過ぎません。医療費抑制では「2割の重症者」を減らすことを目指すべきであり、そのためには、素人判断に頼るのではなく、全国規模でのデータ収集・分析に基づいた費用対効果の高い標準医療の確立や、不健康を招く要因(たばこ、砂糖、etc…)の摂取を減らすための諸規制が必要でしょう。

報奨金のアイデアの背景には、「努力しないやつ」へのいら立ちがあるようです。

傍ら、よく見ますと、これは非常に個人差がありまして、私、昭和十五年ですから七十三ですけれども、少なくとも病院に長期間入院したことは多分私の記憶では一回もない、子供のときは知りませんけど、一回もないので。歩いたりなんかしていて、私らの方は全然、お金を払っているけど使ったことがない。傍ら、飲み倒すだけ飲み倒していいかげんなことして、それでくたびれたようなのに対するあれを払っているというのは、俺たちが払って、努力しないやつのあれを食わせるために払っておるのはおかしいじゃないかといって怒ってきたある高齢者の方がいらっしゃいましたので、私はこの人の言っていることは極めてまともなことを言っておられると、私はその当時幾つだったかな、六十ぐらいだったと思いますが、そういう具合に思った記憶があるんです。

その気分はよく分かりますが、政策としては効果的でないことは【医療制度改革を頑健な人に任せてはいけない】で説明しています。

 

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