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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

過当競争が非婚化と少子化を招く

人口・少子化

シンガポールのテレビ局が、非婚化の原因と対策について専門家に聞く番組を放送しました。日本の少子化対策を考える上でも、非常に参考になる内容です。

近年では、シンガポール人の結婚相手の4割は外国人になっていますが、配偶者選びにおいて男女に違いがあります。配偶者がアジア人*1以外の男はわずか3.6%ですが、女では34.3%に上ります。【結婚相手が不足する上の女と下の男】や【シンガポールの結婚難事情】で説明した、男は自分以下、女は上のレベルの相手を求める傾向がある→下の女上の男が国内で不足する→輸入に頼る、という構図です。結婚市場にまでグローバル化の波が押し寄せています。

Women are finding men with higher imcome and social dominance

香港でも、中国本土の女と結婚する男が増加しています。

totb.hatenablog.com

非婚化の根底には、経済の構造変化があることも指摘されています。

Technology and consumerism are affecting marriage

技術変化やグローバル化→仕事と所得の不安定化(長期の見通しが立てられない)→長期契約である結婚の基盤の脆弱化→非婚化、という図式です。

また、materialism(物質主義・実利主義)志向と結婚・出産には逆相関があるとも指摘されています。経済成長至上主義が、子供を単なる金銭的負担と見做す観念を生み出してしまったわけです。

totb.hatenablog.com

競争的な教育システムに関する指摘も重要です。結婚には相手に尽くす精神が求められますが、幼少時から競争意識を植え付けられた結果、その対極のpragmatism, materialism, individualismの自己中心意識が肥大化しています。

The system has bred 'me first' mentality

先日OECDが公表した2012年のPISA調査では、シンガポールや日本を含むアジア諸国が上位を独占*2しましたが、これら教育熱心なアジアの国・地域はいずれも低出生率が共通します。

totb.hatenablog.com

エマニュエル・トッドは、この関係を以下のように説明しています。

経済幻想

経済幻想

[p.76]

直系家族的社会の教育熱心と出生率の低下傾向は、一つの全体的構造をつくる。それは、少数の子どもをつくって、彼らに集中的に教育するという世界である。この過程は、一定の論理的ループをもって進行する。というのも、長い修学期間は、遅い結婚、遅い出産を意味し、これが今度は低い出生率を助長するからである。

[p.77]

直系家族的社会は、この一時的な成績の良さを、人口面でツケを払わされることになる。子どもを少なくすることによってきわめて手厚い教育を施せたのであるが、同時に、人口減少は、アメリカの文化的停滞と同じく、織り込み済みのことなのである。

教育の競争促進は、

  1. 自己中心意識の肥大化→非婚化
  2. 夫婦の出生率低下 

の二つの要因で出生率を低下させることになります。 

人口減少と高齢化をもたらす低出生率に危機感を募らせるシンガポール政府は、経済的インセンティブで結婚を増やそうと躍起になっていますが、専門家は「効果はあっても目標達成には不十分」という見方です。非婚化の根本に結婚観の変化がある以上、その結婚観(perspective, view)を変える必要がある、ということです。

Inculcate importance and value of marriage among the young

番組の終わりでは、知的能力は高いものの、感情的には未発達(⇒異性と共同生活を営む気にならない感情的ネオテニー*3の大人を競争を煽るシステムが量産*4してしまったことが指摘されていますが、これは【日本の非婚化・少子化に関する重要な指摘】における元女王様の指摘と共通します。

日本の少子化対策では保育所整備などの経済的側面ばかりが議論されますが、それは二の次であり、この番組で指摘さていることにこそ焦点を当てる必要があります。もっとも、「女性手帳」のようなヒステリックなバッシングを受ける可能性が高いため、政治家は言いたがらないでしょうが。

totb.hatenablog.com

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totb.hatenablog.com

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*1:アジア諸国はシンガポールよりも経済水準が低い→シンガポール人よりも「下」になる。

*2:数学の上位は上海、シンガポール、香港、台湾、韓国、マカオ、日本、リヒテンシュタイン、スイス、オランダ、エストニアフィンランドの順

*3:高IQ・低EQ

*4:オタクやストーカーの増加がこれを裏付けていると考えられます。