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高齢者医療は破綻するのか

高齢化が危機的状況をもたらすと予測される分野の一つが医療です。

これまでは、75歳以上の後期高齢者になると、急性期医療から慢性期医療あるいは介護に需要がシフトするという認識に基づき、介護保険創設などの対応が図られてきました。

人口に占める要介護認定者数の割合(要介護認定率)は40~64歳では0.4%、65~74歳では4.4%ですが、75歳以上では30.7%と大きく跳ね上がります(2011年度末)。高齢化対応=介護や慢性期医療体制の拡充、と考えてもよさそうに思えます。

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しかしながら、介護や慢性期医療ニーズの増加は急性期医療の減少を意味しません。心疾患や脳血管疾患などの集中的な医療資源投入を要する疾患も、後期高齢者になってから急増するためです。

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問題は、急増する後期高齢者向け急性期医療を満たせるだけの医療提供体制を整えられるかです。2020年代後半には後期高齢者数の増加が止まるため、設備拡充のための投資は一息つけられますが、生産年齢人口が減少する中でのマンパワー確保が課題となります。特に、専門的医療を施せる医師数の確保がポイントですが、介護ヘルパーに比べると技能習得に多大な時間を要するため、悲観的にならざるを得ません。

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1980年代前半に、厚生省の吉村保険局長は老人医療を「枯れ木に水」とたとえて問題提起しましたが、当時の日本には十分なマンパワーがあり、経済全体でも供給力が余っていたため、議論は深まりませんでした。

しかし、マンパワーが減少する一方で、高齢者医療ニーズが急増する今後は、「治療しても生産活動には寄与しない人々」への資源投入をいつまで続けるかの議論を避けては通れないでしょう。

 

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