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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

スイスの移民制限国民投票可決は経済至上主義への反発

政治・歴史・社会

スイスで移民の人数を制限する国民投票が、ドイツ語圏とイタリア語圏で支持を集めて可決されました。

「移民反対」と言えば中東*1やアフリカからの移民との「文明の衝突」が連想されますが、今回の国民投票可決はそうではなく、経済至上主義への反発の強まりが根底にあります。

スイス社会が経済至上主義に動かされてきたことは、下の記事に示されています。

しかしながら、下の動画で企業経営者が語るように(2:20~)、経済へのプラスは生活へのマイナスを正当化しない、と感じる人々が増えたことが、国民投票の可決につながったと考えられます。


Outsiders Out? Swiss decide on tougher ...

隣のドイツ人にも違和感を感じるのだから、その他の外人が大量に押し寄せれば生活が破壊されてしまうと考えるスイス人が増えるのは当然でしょう。*2

これまで、ヨーロッパのエリートは移民に反対する大衆を「レイシスト」「極右」と決めつけて抑え込んでいましたが、ヨーロッパ人同士ではこの論法が使えないため、国民投票可決を許してしまったとも言えます。

今後の注目は、経済成長を錦の御旗にしたヨーロッパの自由化路線にブレーキがかかるかです。英国独立党(UKIP)のファラージュ党首が支持を集めている背景にも、経済成長至上主義によって社会が破壊されることへの大衆の不満があります。

… "There are some things that matter more than money." Around a minute into his interview, there it was again: "If you said to me, do you want to see another 5 million people come to Britain, and if that happened we would all be slightly richer, I would say, do you know what? I would rather we were not slightly richer … I do think the social side of this matters more than the pure market economics."

… Both main parties do not think to question the supremacy of supposed growth and the idea that national "prosperity" must be king. …

Real people, by contrast, care more about their jobs, where they live, and the fuzzy stuff of security, happiness and a sense of belonging. Politicians affect to understand, but mostly don't.

エリートの反国民主義で劣化するヨーロッパ】で述べましたが、1990年代からのヨーロッパの混迷の根底には、大衆から乖離したエリートの「反国民主義」があります。ヨーロッパが今後も反国民主義に突き進むのか、「極右」による国民共同体再興へと転換するのか、目が離せません。

*1:定住者の4.9%がイスラム教徒(2012年)。

*2:2013年9月時点で人口の23.6%が外人。