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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

円安不況がやって来る?

アベノミクス

円安不況がやって来る?とする下の記事を検証します。

事実誤認が一つ。【貿易赤字と原発再稼働】にも書きましたが、火力発電の燃料の主体はLNGであり原油ではありません。

ただ、安倍政権など原発再稼働論者が言うように、原発の運転を停止したため、代わりにフル稼働させている火力発電所の燃料がたくさん必要になっているというのは、乱暴な議論と言わざるを得ない。というのは、原油の輸入量は、2億1171万キロリットルと前年比で0.6%減少しているからだ。

<略>重要なのはすでに輸入量の増加は2013年に止まっており、円安が進んだ分だけ支払いが増えているに過ぎないという実態だ。

もっとも、LNGも輸入量は横ばいであり、円安の分だけ金額が増えているのは同じです(2013年は前年比1兆円強の増加)。

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輸出数量の伸びが小さいことの原因分析は妥当です。

何といっても深刻なのは、円高さえ是正すれば回復すると期待されていた輸出が相変わらず低水準にとどまっている点だろう。

<略>

明らかに、これは「アベノミクスの誤算」と呼ぶべき現象だろう。原因は、過去数年間に製造業が進めた生産拠点の海外移転(空洞化)と、新興国をはじめとした海外諸国の成長の減速にあるとみられる。

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しかし、これらから円安政策が誤りだったと結論することは早急過ぎます。【経済再生を妨げる大震災のヒステリシス】等で指摘したように、リーマンショック後の急激な円高と、それに続く東日本大震災によって生じた海外シフト(日本脱出)のモメンタムがあまりにも強かったため、それを反転させるには、十分な期間と減価率が必要だからです。いったん耕作放棄した土地を再び農地に戻すには時間を要するのと同じことです。

以前の為替レート水準がなにをもたらしたかについては、【政府と銀行に潰された日本企業の競争力~『不本意な敗戦 エルピーダの戦い』】等で説明済みです。このマクロ環境に戻すべき、と主張する人はさすがにいないでしょう。

成長戦略作りを急ぐべき」とも主張していますが、日本経済を支えてきたエレクトロニクス産業に代わる産業が1年やそこらで育つはずがありません。焦る気持ちは理解できますが、現実的になることも必要です。

アベノミクスが失敗するとすれば、それは円安のためではなく、消費税率引き上げを早まったことと、「国家の非常事態」よりも「企業の自由」を優先して賃上げを強要できなかったことになるでしょう。

「失われた20年」がたった1年で全快しないことに怒る人たち】に続く。

 

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