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マンキューの格差肯定論と南アフリカ化するアメリカ

昨年にアメリカの巨大な所得格差を肯定する論文“Defending the One Percent”を発表していたマンキューが、今度はNYTに寄稿しました。格差拡大肯定派の本音が分かる内容です。

CEOが高給を得るのは、優秀なCEOの市場価値がとびきり高いからと考えるのが自然だろう。

「市場で決まったことはすべて正しい」という思想ですが、そもそも、市場がCEOの能力を正しく判断しているのでしょうか。それよりも、【サックスのクルーグマン&サマーズ批判】や【アメリカの文化大革命「株主価値の最大化」】で見た経営陣の報酬のあり方の変化(ストックオプションが主体に)・ボーナス文化が、過大な報酬をもたらしていると考えられます。

最近の研究から、金融業界で働く人々は報酬に伴うリスクがとりわけ高いことがわかっている。冒すリスクが大きいほど、見返りも大きくなる。

この論理にも無理があります。高リスクといっても、死傷するわけでも自己破産するわけでもありません。油田採掘労働者やギャンブラーよりもリターンがはるかに大きいことが説明できません。【米金融業界の荒稼ぎは正当か】で見たように、明らかに超過利潤が発生しています。

彼らの税金が学校や警察の運営を助け、国防を支えている。

裏を返せば、中流以下の所得が圧迫されていることになります。"1%"が途方もない所得の一部を"99%"に分配して"99%"が納税すれば、公的サービスは支えられます。超高所得者の実効税率が低いことはバフェット達も指摘しています。【ロンドン市長のIQ発言と「七つの大罪」】で見たように、ロンドンのジョンソン市長も「富裕層は納税英雄」と形容して格差を正当化していました。

ハーバード大学の著名教授とは思えない粗雑な論理です。

同じくNYTに掲載されているスティグリッツが関与するシリーズでは、アメリカで格差拡大と並行して警備産業(private security)が著しく拡大していることが示されています。

What is happening in America today is both unprecedented in our history, and virtually unique among Western democratic nations. The share of our labor force devoted to guard labor has risen fivefold since 1890 — a year when, in case you were wondering, the homicide rate was much higher than today.

In America, growing inequality has been accompanied by a boom in gated communities and armies of doormen controlling access to upscale apartment buildings.

記事中のグラフは、所得格差と警備産業の大きさに強い正の相関があることを示しています。

アパルトヘイト撤廃後、新興国の一つとして成長したものの、暴力・犯罪が蔓延して警備産業が発達した超格差社会南アフリカに似てきているように思えますが、アメリカの金持ちたちはそれでもよいのでしょうか。*1

 

[参考]

南アフリカ共和国日本国大使館「在留邦人向け安全の手引き」

とりわけ治安問題に関しては、ヨハネスブルグは、世界的でも最も治安の悪い犯罪都市の一つとされ、最新の2011年9月発表の犯罪統計によると、殺人事件が15,940件(1日当たり43.6件)、殺人未遂事件が15,493件(1日当たり42.4件)、武装強盗事件が101,463件(1日当たり277.9件)、強盗事件54,883件が(1日当たり150.3件)、強姦を含む性犯罪事件が66,196件(1日当たり181.3件)発生しています。……いずれも発生件数は非常に高い水準であり、南アの人口が約5,000万人であることを鑑みれば、我が国とは到底比較になりません。

殺人件数はアメリカ(2011年)が14610件、日本(2012年)が1030件。

 

Sunday Live: Private security industry - YouTube

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*1:2009年のジニ係数は、アメリカが0.47(センサス局)、南アフリカが0.63(世界銀行)。