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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

浅田真央人気と「大人の女」嫌い

佐村河内守と浅田真央】では、日本国内での浅田の過大評価・過剰報道の裏に「大人の事情」があったのではないか、と考察しましたが、それが「ごり押し」との反発を受けずに社会に受け入れられていたのは、日本人の多くが浅田に好意的印象を持っていたためだと思われます。

ではなぜ浅田が好印象を持たれたかですが、それは浅田の表情や言動が(年齢の割には)子供っぽく見えることがあるように思えます。向かうところ敵なしで注目を集めたジュニア時代とあまり変わらない感覚で見ていた人が多いのではないでしょうか。言わば「永遠の15歳」です。

斎藤美奈子は『紅一点論』で、「アニメの国」のヒロインを

  1. 魔法少女(女の子の国のヒロイン)
  2. 紅の戦士(男の子の国のヒロイン)
  3. 悪の女王(悪の帝国のヒロイン)

の三タイプに分類していますが、浅田は1.の魔法少女にあてはまります。

魔法少女は、視聴者であるお嬢ちゃんよりは親御さん、とりわけ男親の目から見た「理想的なうちの娘」として描かれている。

魔法少女の将来の夢は「お嫁さん」である

紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)

紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)

昨年4月、引退を表明した記者会見では、「いい人に巡り合って家庭を築きたい」と結婚願望も口にしていた。田中さんによると、多くの女子アスリートが「引退したらお嫁さんになりたい」と話すという。

そして僕らは自由に遊び、喜び続けている浅田の中に、女子フィギュア選手でも、アスリートでも、勝負師でもないものを見いだしてしまう……それは「愛娘」という感覚。

つまり彼女が自分の愛おしい子どものように見えてしまったのだ。

宿敵キムヨナの存在(嫌韓とそのしたたかな演技から、日本では「素直ではない」、つまり悪役とみなされ、浅田=善玉とのコントラストを構成している。

金妍児キム・ヨナ)選手は演技力に定評がありますが、彼女は違う人格を演じるのが上手なタイプ。「007」を踊ったらボンド・ガールになりきってしまう。でも、浅田選手は何の音楽で踊っても、「浅田真央」以外の何者でもない。

安藤美姫キム・ヨナの評価が実力に比べて低かったのは、多くの日本人がアダルトな雰囲気や化ける力を身に付けた「大人の女」よりも、それらとは無縁の「子供」を好むことが大きかったということでしょう(安心して見ていられる)。安藤やキムには、3.の悪の女王のイメージが重なっていると思われます。

悪の女王は大人の女だ。それも、どぎついメイクアップを顔面に施したアダルトな女である。

余談だが、こういうタイプの大人の女、悪の女王を恐れているのは、本当に子どもたちだろうか。もしかして大人の男(正確には幼稚な女性観しかない大人の男)ではないのか?

端的にいえば、魔法少女や紅の戦士は、男社会に都合のいい女性像であり、悪の女王は男社会に都合の悪い女性像だといってもよい。

斎藤は男に批判的ですが、「大人の女」の行動に批判的なのは必ずしも男に限らないように思えます。「女の敵は女」というのは、アニメの中に限らないということです。

女の子の国では「女の敵は女」「少女の敵は熟女」という図式が成立しているわけである。

18~20世紀の欧米、あるいは現在のイスラム圏でも、男女同権に反対する女が多数いました(す)。

海外では、日本に「少女」が氾濫するアニメやゲームに興じる男が多いことが注目されていますが、男が「大人の女」を評価することに脅威を感じる「子供の振りをした女」が多いのも日本の特徴ではないでしょうか。

 

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