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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

海外に漏れる財政支出が示す日本経済の死角

アベノミクス

アベノミクスが始動した2012年末からの日本経済の変化で注目されるのが、

  • 公的支出の急増(第2の矢)
  • 貿易赤字の拡大(第1の矢の影響)

です。過去記事でも取り上げましたが、2011年の東日本大震災後、

  • 原子力発電停止に伴うLNG輸入の増加
  • 震災+円高による生産の海外シフト

によって純輸出が底割れしてたことが下のグラフから分かります。

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注目されるのは、アベノミクス始動後、公的需要増加≒家計消費増加≒貿易赤字増加となっていることです。単純化すると、財政刺激がほぼそっくり海外にリークしていることになります。

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このことは、「国内の余剰供給力がほとんどない」and/or「民間企業の行動に問題がある」ことを示唆します。後者は、伊東光晴が1990年代後半に指摘していたことです。

「経済政策」はこれでよいか―現代経済と金融危機

「経済政策」はこれでよいか―現代経済と金融危機

…政府が景気政策を打ち、その結果、企業は経営に余裕が出ると、投資のより多くが海外にという傾向になる。わが国の90年代の状況はまさにそれである。…このようなことを生みだしたのは、円高と90年代の景気政策であったと言ってよい。

 このことはマクロ経済政策としては、海外に投資される分が有効需要として海外に漏れるということであり、有効需要の減少を意味する。わが国には、貯蓄があって投資機会がないという形になり、その分、民間需要は縮小せざるをえない。それを公共投資によって補っているというのが90年代前半の姿だ。こうした民間企業の行動を放置して財政に支援を求めても効果が生まれない。

結局のところ、日本経済の本質的問題は、(迫り来る)供給制約や有効需要増を阻害する企業行動(賃金抑制、資金余剰体質、海外志向)といったリアルなものだということです。

景気政策を行うとすれば、政府投資の内容にかかわる問題に考えを移していかなければならない。それが産業連関的に有効需要を増大・波及させる効果を持つものかどうかということが重要なのである。

1990年代末のクルーグマンの「日銀がマネタリーベースを増やせばすべて解決」という楽観的主張(と日銀バッシング)が、マネタリーな刺激の過大評価と、リアルな問題の過小評価(見落とし)の根源にあるように思われます。

The Road to Recovery: How and Why Economic Policy Must Change

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