読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

医療に幻想を抱くエコノミスト

社会保障

いわゆるエコノミスト達と話して感じるのは、、規制緩和→健康・医療が成長産業に→高齢者の健康増進→医療費削減、というシナリオを信じ込んでいることです。

5歳若返ることで、全年代の医療費総額が▲11%削減される計算になった。稀有壮大な前提だと思うが、シニア層が10歳若返りしたと仮定すると、医療費削減は▲19%という計算になった。

企業がビジネスチャンスを目指して、新しい需要開拓を進めれば、その結果として国民の健康寿命は延長されるだろう。

しかしながら、事はそう単純ではありません。高齢者医療は破綻するのか】で述べたように、75歳以上の後期高齢者になると、医療(特に脳や循環器)や介護の需要が急増します。

この意味ですが、人間を(生産に用いる)機械にたとえるとよく分かります。

  • 人間の「運用」可能期間は平均すると約75年である。
  • それ以降も「動態保存」するためには、頻繁な修復とコストが必要になる。
  • 昔に比べて保存技術が格段に進歩したため、保存可能期間も伸びたが、それに応じて保存費用も増えた。
  • 保存状態の「若返り」技術は、短期的には日常的な修復コストを減少させるが、保存期間を延長させるため、完全に壊れて修復不能となる(死)までの総コストの減少にはつながらない。

ということです。

2001年にフィリップ・モリスが「早死に→生涯医療費削減」を喫煙のメリットと主張して後に謝罪した一件がありましたが、倫理的問題は別とすれば、論理的には的を射ていました。*1

… one of the "positive effects" of smokers dying early was lower state expenditure on health care and pensions.

また、昼間のBSが中高年向けの健康食品や若返りのCMで溢れていることに示されるように、高齢者向けのビジネスチャンスがあることは確かでしょうが、それが健康にどれほどの効果があるかは疑問です。

消費者は、サプリメントやマッサージなど健康保険が効かない品目であっても、自分が必要だと感じれば、積極的に購入しているのである。

病院・診療所の外にある医療・健康消費には、まだまだビジネスチャンスがあるというのが筆者の見方だ。

地道な予防や健康増進活動にはカネと気力が必要ですが、増加する貧困高齢者にはそれらが失われています。かといって、政府が財政支援するとは思えません(費用対効果からも)。

結局、高齢者の経済格差拡大とともに、健康格差も拡大していくだけではないでしょうか。

 

関連記事

*1:ただし、計算法に問題があるとの指摘もあります。「運用期間」中の故障が増えれば、医療費増加と労働の減少につながるため、損失です。