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Think outside the box

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為替レートとマネタリーベース:スイスの例

金融

下の記事についてのコメントです。

当時のスイスフランの動きを見ると、2つの興味深い事実が浮かび上がる。第一点は、この「無制限介入」は一応、成功した。すなわち、「無制限介入」宣言以降、対ユーロでのスイスフラン高が止まったことである。

だが、これは、「無制限介入」というアナウンスメント効果というよりも、介入を通じたマネタリーベースの急拡大によるものであったと考えられる。スイスフラン高が発生した2011年8月から2012年8月にかけてスイスの中央銀行はマネタリーベースを急拡大させている(図1)。

当時のスイスもほとんどゼロ金利状態だったので、中央銀行量的緩和を実施したことを意味する。すなわち、これは、為替レートにはやはり、金融政策が大きく影響していることを意味する。

この記事の筆者(安達)は、マネタリーベース拡大には為替レート減価効果がある、と主張しているようですが、スイス国立銀行SNB)がスイスフラン急騰を食い止めたのは、日本のような量的緩和ではなく無制限スイスフラン売りによるものです。因果関係は逆で、マネタリーベース急拡大は、スイスフラン売りの結果です。*1

Since 6 September 2011, the liquidity supply has primarily been a consequence of the implementation of a necessary monetary policy measure, i.e. the enforcement of the minimum exchange rate of CHF 1.20 per euro.

Since 2010, however, the banking system has been characterised by excess liquidity. The exceptionally high level of liquidity is due to the SNB's foreign exchange transactions against Swiss francs.

2011年8月の量的緩和(当座預金残高増額)では急激なスイスフラン高を止められなかったため、9月に無制限介入に踏み切ったという経緯があります。マネタリーベース増加は為替レート急騰を止める(あるいは減価させる)ために必要だが十分ではない、というのがスイスの教訓です。

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詳しくは中央銀行のバランスシート拡大の効果:スイスの例】で説明しています。

*1:量的緩和でマネタリーベースを増やしたからスイスフラン高が止まったのではなく、1ユーロ=1.2スイスフランにおける巨額のスイスフラン需要に応じて供給を続けたら、結果的にマネタリーベースが増えていたということ。