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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

輸出伸び悩みに関するNY連銀エコノミストの分析

アベノミクス

2013年以降のアベノミクス景気で異例なのが、大幅な円安にもかかわらず、外需が悪化していることです。2002~08年の史上最長の景気拡大では、プラザ合意以前の水準までの実質円安によって経常収支は25兆円(GDP比5%)まで増加しました。しかし、今回はほぼ同水準まで実質円安が進んでいるものの、経常収支は逆にゼロまで減少しています。*1

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その一因は、原子力発電所停止に伴うLNG輸入の急増です。東日本大震災直前と比べると、年間約4兆円の増加になっています。

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しかしながら、LNGの輸入数量は、2012年以降はほぼ横ばいです。2013年以降はエネルギー以外の財の輸入が、輸出を大きく上回るペースで増えています。 

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大震災前は月額1兆円の貿易黒字でしたが、最近では1兆円の赤字に転じています(季節調整値)。

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大幅な円安が輸出数量増加に結びついていない理由について、NY連銀のエコノミストが分析しています。

Thus, the prices of the largest firms, which account for a disproportionate share of trade, are insulated from exchange rate movements both through the hedging effect of imported inputs and through active offsetting markup adjustment in response to cost shocks.  

The point is that the yen depreciation drives up the marginal costs of Japanese exporters that import their intermediate inputs and therefore results in a smaller share of the depreciation being passed on into their export prices in foreign currency terms. The magnitude of the price adjustment depends on how important imported intermediate inputs are in a firm’s total costs. In the case of Japan, the replacement of nuclear power with imported fuels works to increase the impact of the weaker yen on the production costs of exporters. 

  • 輸出の大部分を占める大企業は同時に多くの中間財の輸入業者でもある→円安効果は差引分にしか反映されない(相殺される)→円相場の下落ほど外貨建て価格は低下しない→数量効果があまり効かない
  • 原発停止→輸入中間財のコスト上昇→「差引分」が小さくなっている

ということです。為替変動リスクを避けるための個々の企業の体質改善(合理的行動)が、経済全体では円安メリットを活かせないという損失につながっていることになります。

増えない純輸出と企業の「要塞化」】に続きます。

*1:通常、為替レートは経常収支に1年~程度先行する。