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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

「福井モデル」と“Lean In”の幻想

女性登用とリスクシナリオ】の続きです。

女のキャリア追求と出産の両立推進が「改革」「成長戦略」であるかのような空気が強まっているようです。「福井モデル」の称賛もその一つです。

www.sankei.com

福井県が公開しているデータによれば、同県の女性の有業率は53.0%で全国1位、共働き世帯割合も36.4%で1位と、女性の社会進出が目立つ上、 

仕事と両立できる同県の子育て環境。それを教育関係者らは「福井モデル」と呼び、少子化対策などのヒントにもしている。

2012年の合計出生率は、全国1.41のところ、福井県は1.60で、沖縄1.90、島根1.68、宮崎1.67、鹿児島1.64、長崎1.63、熊本1.62、佐賀1.61に次ぐ第8位です。*1

しかしながら、「福井モデル」は、女のキャリア志向が強くないからこそ成り立っていると考えられます。つまり、政府の方針とは合致していないということです。

福井県には、女性の社会進出の割に管理職への登用が少ない(全国41位)などの課題があるのも事実。

手厚い政府支出が女の仕事と子供を両立させた成功例として、北欧諸国とともによく取り上げられるフランスでも、キャリアと子供はトレードオフの関係です。「非就労」の出生率の高さと「上級管理職・知識専門職」の低さが対照的です。

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出生率でフランスに大差を付けられているドイツでは、保育所不足が“kids or career”による少子化を招いているという見方が主流になっていますが、フランスにも“kids or career”は存在するということです。*2

Fortuneの“Most Powerful Women 2013”で第2位になったペプシコのCEOノーイも、「すべてを手に入れることはできない」と語っています。

I don't think women can have it all. I just don't think so. We pretend we have it all. We pretend we can have it all.

Political correctな一部の人には「不都合な真実」かもしれませんが、“kids AND career”を目指す政策は「虻蜂取らず」「二兎を追う者は一兎をも得ず」に終わる可能性が十分あります。【"Lean In"に警鐘を鳴らす元リーマン女性CFO】で紹介したエリン・キャランは「後悔先に立たず」と感じていたようですが。

 

[付録]

上級管理職・知識専門職には“ism”に染まりやすい(「主義者」になりやすい*3)頭でっかちなインテリが多いことも、低出生率の一因と考えられます。

*1:島根を除くと、上位は沖縄・九州に集中しています。

*2:フランス本土の合計出生率は1.97(2013年)、ドイツは1.37(2012年)。

*3:共産主義も多くのインテリに支持されました。