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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

男女の能力分布とダイバーシティ

少子化・ジェンダー

女性登用とリスクシナリオ】と【「家事ハラCM」批判とダブルスタンダード】の続きです。

「夫が家事を手伝う」という表現に激怒する人たちは、女に固有の出産を除くと、男と女に生まれつきの差は存在しない⇒男と女は家庭内(家事・育児)・家庭外(仕事)において完全に等しく役割分担しなければならない、という信念を持っているようです。(【社会を破壊する「頭のいい」人たち】を参照)

しかしながら、この信念は現実とは合致しません。「生まれつきの差は存在しない」という前提が誤っているためです。

日本の女が(相対的に)幸せな理由】などに示したように、男と女が就く仕事には、生まれつきの好み・適性に基づくと考えられる違いが存在します。女は対人サービス(←コミュ力)、男は危険な力仕事や機械操作(←システム的思考)を選ぶ傾向があります。この違いは、大学の学部選びにおいても顕著です。

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さらに、男と女では能力のばらつきが異なることも重要です。【グラフで見る非婚化の構図】に示したように、一般的に男は女にくらべてばらつき(個人差)が大きいとされています。金融商品にたとえると、男は高リスク資産、女は低リスク資産です。そのため、「大儲け」した集団の男女比は男に偏ります*1

…even if the average abilities of men and women were the same, there would be more men than women at the elite levels of mathematical ability—and also, though Summers didn’t say this, at the lowest levels as well.

現実社会における「大儲け」≒ヒエラルヒーの上位に入ることですが、東京大学京都大学の合格者が男に偏っていることもその一例です。近年難易度が上がっている医学部に限っても、難易度が高い⇒男が多数の傾向が明瞭です。

www.med-pass.net

企業のヒエラルヒーの上位に上り詰めることも現実社会における「大儲け」なので、取締役も男が多数派になることが自然と考えられます。取締役の40%以上を女にすることを義務付けるクォータ制を導入したノルウェーで、企業経営にマイナスの影響が出ているとの報告があることは【ノルウェーのクォータ制とヨーロッパの「上からのPC教化」】で紹介しています。

クォータ制ではなく、評価基準を変えるという手もあります。

公然と女性の合格者を下げることはしなくても、女性が苦手にしがちな数学の難易度を上げたり、女性が比較的多く選択する生物の難易度を上げる、面接の配点を下げるなどにより間接的に女性の合格率を下げている大学は実際には存在します。

これを裏返すと、科学技術の基礎の数学(←論理的思考)よりもコミュニケーション力・アピール力を重視すると女優位になるということです。

www.j-cast.com

www.asahi.com

ameblo.jp

しかし、コミュ力重視には、下の記事のような懸念が生じます。

gendai.ismedia.jp

それにしても、ソニーは変わってしまった。われわれの世代が築いた技術屋の魂は受け継がれていない。人事部や営業部出身で、技術の先読みができない文系の人間が出世している。もうソニー精神のかけらも残っていないでしょう」

もちろん、だからといって取締役や政治家の大半を男が占めることが望ましいわけではありません。現在の成功者は、過去の環境に最も適応した人なので、将来の環境にも適任とは限らないことが理由の一つです。組織の長期繁栄のためには、変化した環境に適応するオプション=多様性(diversity)*2が必要であり、そのために男に偏った経済・政治の指導者層の構成を改めることには意義があります。日本の経済社会は環境の激変期にあるので、多様性の重要性は高まっています。

大いに意義があることなのですから、ノルウェーのようなイデオロギーに基づく過激主義ではなく、日産自動車シンガポールのような現実的な漸進主義が望ましいのではないでしょうか。

newsphere.jp

Based on its findings and feedback, the DTF does not recommend imposing quotas or setting targets as the causes for the low percentage of women on boards are complex and intertwined. Instead, the DTF recommends measures to address the underlying root causes and prefer to allow these measures to run their course before assessing if quotas should be imposed in future. 

www.youtube.com

*1:その反対側の「大損」も男が多数を占めます。イメージしてください。

*2:そもそも、男女に違いがなければダイバーシティにはなりません。一方で「男女には違いがない」と説きながら、もう一方では「ダイバーシティにはメリットがある」と説く論者は矛盾しています。