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性役割批判のダブルスタンダードの陰謀論的解釈

「家事ハラCM」批判とダブルスタンダード】では、妻が食事を作るCMには「性差別」と激怒する論者が、男が自動車を運転するCMやドラマには激怒しないダブルスタンダードを指摘しました。

男女のカップルや家族連れが長距離ドライブする設定のCMやドラマでは、男が運転することが多いのですが、それに対して「男に運転を押し付けている」「男に運転させる女は何様のつもりか」「人権問題」と激怒する人はいないようです。

この指摘への返答のような記事が掲載されました。

toyokeizai.net

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車の運転をめぐるイメージには、強烈な性役割のステレオタイプが埋め込まれています。デートでドライブのときに運転するのは男性で、女性はお弁当を作ってくる。そして運転席の横には女性のための場所(=助手席)があり、席を倒せば「簡易ラブホテル」にもなる。さらに「初デートでカレが軽に乗ってきたのですが、それって……」というのが、ネットの書き込みサイトで「相談事」になってしまうのは、車の格が男性の経済力を示すからで、まさに男性役割を象徴しています。

そのことを「男性差別」と呼ぶこともできるのですが、鉄道派と違って、車派は恋愛に直結する「勝ち組」なのです。

妻が調理する味の素のCMには執拗に抗議メールを送るこの論者(東京大学教授の瀬地山角)は、男が車を運転することについては、“「男性差別」と呼ぶこともできる”としながらも、恋愛の勝ち組(強者)なのだから差別であっても問題ではないということのようです。しかし、下の[付録]に示したように、女は男に経済力を求めるので、車の格が低い男は恋愛に直結する「勝ち組」ではありません。そもそも、「勝ち組に対する差別は正当化される」はずがありません。

この構図を男女逆にすると、「家事・育児能力の高い女は恋愛に直結する勝ち組」なので、「男性役割」が問題でないのなら、「女性役割」も問題ではないはずです。

dot.asahi.com

おいしい手作り料理で愛情を伝えたいです。スキンシップを大切にして末永く心から愛し合って尊敬できる伴侶を探しています

「女性役割」は問題にするが、「男性役割」は問題にしない瀬地山のダブルスタンダードが明確に表れています。

次の引用部にも現実無視が見られます。 

しかし最近は、女性の車掌や運転士を見かけることはもう珍しくはありません。新幹線の運転士にも女性がいます。シャベルで石炭をすくって釜に放り込むという重労働があった蒸気機関車の時代ならいざ知らず、レバーひとつで動く電車の運転に、男女の差異などあるわけがありません

運転士に女が少ないのは「差別」の結果と主張したいようですが、男女平等先進地域の北欧でも、運転手(士)の9割前後は男です。*1

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重労働がなくても、女は男に比べて機械操作を好まない(加えて適性が低い)傾向があることを反映しています。

自動車や列車の運転が「男性役割」なのは、男に進化の過程で得られた生まれつきの選好・適性がある結果であり、それを差別と言うのは不当です。同様に、家事・育児が「女性役割」なのは女に選好・適性がある結果であり、それを差別と言うのも不当です。【北欧の「男女の働き方」の虚と実】に示したように、北欧でも稼得労働の負荷は男>女、家事・育児の負荷は女>男の分業体制です(ただし完全分業ではない)。

「家事は女の仕事」と決めつける「狭義の強制」は問題ですが、男女の選好・適性に応じた効率的役割分担まで「広義の強制」として糾弾することもまた問題です。

「性差別」と叫ぶ論者は、「男も女も等しくフルタイム労働&家事・育児は折半」を自然な理想的状態、パートタイム労働と家事・育児が女に偏った現状を「女が不当な負担・差別に苦しめられている」と認識しているようですが、それでは【日本の女が(相対的に)幸せな理由】が説明できません。もちろん、男の家事・育児も家庭生活には必要ですが、完全に均等化すれば、男の負荷が(相対的に)過大になる可能性が大です。実際、【ノルウェーの高出生率の裏側~男の二極化】で示したように、男の一部が「負け組」に転落しています。

そのような論者にとっては、それこそが真の狙いなのかもしれませんが。

totb.hatenablog.com

[付録] 

国立社会保障・人口問題研究所の『独身調査』*2からは、結婚相手に求める条件の男女差が「経済力」にあることが分かります。このことは、男は「稼得労働の主担当は夫/家事・育児の主担当は妻」と考えているのに対して、女は「稼得労働の主担当は夫/家事・育児は二人で折半」と考えていることを示唆します。必然的に、男の負荷が(相対的に)過大になります。

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[追記]

美貌格差: 生まれつき不平等の経済学

美貌格差: 生まれつき不平等の経済学

容姿に対して男女で反応があまり違わない一方、教育水準の高い男性ほど女性に好まれるが、女性の教育水準に関してはそういう傾向はあまり強くないという結果が得られている。[…]女性たちは容姿よりもお金を稼ぐ能力を示す特徴のほうを重視するようである。*3

*1:先頭車両の先頭部に陣取って進行方向を眺めているのは、子供も大人も男≫女です。

*2:平成22年第14回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査) 第Ⅱ報告書「わが国独身層の結婚観と家族観」

*3:下線は引用者。