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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

『エヴァ』第九話とイタリアの"Mammoni"たち

イタリア、スペイン、ギリシャなど地中海沿岸ヨーロッパは、合計出生率が1.3~1.4で東アジアと並ぶ低出生率地域です。

出生率の一因は、子が親と同居する文化であるとされています。成人すると子が親元を離れる文化*1アングロサクソンの目にはこれが奇異に映るらしく、英米メディアにも多くの記事が書かれています。特に、40代になってもマンマの世話になる男たちへの関心が高いようです。


This Mother's Day, meet the real mama's boys - CBS News


Women: Italian men and their mothers | World news | The Guardian


Italian men cling to mamma - World - News - The Independent

人口・少子化]カテゴリで説明しているように、出生率低下の主因は結婚(ないしはパートナーシップ形成)する男女の割合の低下です。

結婚とは、子が親との関係から他人(配偶者)との関係を優先させるようになることであり、そのためには“男女間引力>親子間引力”が必要です。昔の「子沢山の貧しい親」の場合、子にいつまでも家に居座られることは自分の生活の妨げになるので、子が成長すると家から追い出す“斥力”が作用します(動物の親が子の巣立ちを促すようなもの)。親子間引力が負になるので、“男女間引力>親子間引力”が自然に実現し、結婚する男女も多かったわけです。

ところが、親が豊かになり子の数も減ると、成人した子を家から追い出す必然性がなくなります。親子は遺伝的に近く(似た者同士)、共有した時間も長いため、親子間引力が強まり、“親子間引力>男女間引力”になりがちです。その結果が非婚化・少子化です。

母―息子―他の女の引き合いを巧みに描いた作品といえば『新世紀エヴァンゲリオン』です。第九話「瞬間、心、重ねて」は、

  1. シンジとアスカが二体に分離する第7使徒イスラフェルに敗れる。
  2. ミサトが、シンジとアスカが動きを完璧に同調させて二体のコアを同時攻撃する作戦を立案する
  3. しかし、同調の訓練はうまく進まず、アスカはシンジを非難する。
  4. ミサトがアスカとレイ(シンジの母ユイのクローン)を交代させると、一発で完璧な同調が実現される。
  5. ショックを受けたアスカは部屋を飛び出すが、気を取り直して訓練を再開し、シンジとの同調を達成。二人で使徒を撃破する。

という内容ですが、「遺伝子は強し」「努力しないと他人(アスカ)は男の母(レイ)に勝てない」ことが描かれています(嫁姑戦争)。レイのファンが"Mammoni"(mama's boys)ということではないと思いますが。


NBC: What is keeping Italian men at home? - World news | NBC News

Italian men, in fact, still find it too difficult to cleanly sever the umbilical cord, and end up staying at home with their parents well into their 30s.

イタリアの男たちとは異なり、エヴァの劇場版の最後で、シンジとユイは意外にあっさりと親離れ・子離れします。人類補完計画後の地球に二人残ったシンジとアスカのハッピーエンドかと思いきや、シンジには女の首を絞めることで興奮する*2、アスカにとっては「気持ち悪い」性的嗜好の持ち主だったというオチで終劇となるわけですが、それはまた別の話です。

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*1:近年では経済的要因から親離れできない子が英米でも増えています。大学進学でいったん家を出たものの、よい就職先が見つからず、親元に戻ってくる「ブーメラン・チャイルド」もいます。

*2:映画のもうワンシーンにその描写があります。