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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

輸出・設備投資停滞と日本経済に働く収縮力

昨日の記事の続きです。


輸出停滞は「中国に競り負けた」ためか - Think outside the box

円安にもかかわらず輸出数量が増えない「異常事態」の主因は、輸出企業の行動が「羹に懲りて膾を吹く」に変化したためではないかと推測しました。

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輸出企業の「円安→増益」には主に二つの選択肢があります。

  1. 何もしない(輸出数量変わらず):価格効果による増益
  2. 生産能力増強(輸出数量増加):価格効果に数量効果が上乗せさせた増益

以前は躊躇せず2.の行動を取っていたものが、2008年の大ショックの「学習」の結果、リスク回避を重視して1.の行動に変化したのではないか、ということです。

企業が「リスクを取らずに利益(リターン)を増やす」姿勢を強めているとすれば、予想されるのは人件費削減です。2000年代以降、増益が人件費増加につながらない傾向が鮮明になっています。

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今後も、下の記事のように、財界があらゆる手段を用いて人件費を抑制・削減しようとする可能性が十分にあります。


【寄稿】企業が隠しているエグゼンプション導入の本音 - 海老原嗣生 (1/2)

企業にとっては、人件費削減が最もリスク/リターン効率が高い手段かもしれませんが、マクロ的には内需を縮小させる悪手です。暴走した免疫細胞が自分の組織を破壊し、老化させてしまうことと似ています。

日本経済を問う―誤った理論は誤った政策を導く

日本経済を問う―誤った理論は誤った政策を導く

バブル崩壊以後、個々の企業は不況に対処して日本的リストラを続けた。古典的景気循環過程における企業のとる行動である。ミクロの経済理論に則していえば、費用曲線の下へのシフトである。これが利潤の幅を拡大させ、企業経営を回復させる。だが不況下の利潤回復は、資金べらし、無駄べらしであるから守りであって、投資を盛りあげることはない。これがしばらく続くと、リストラ、合理化は社会全体としての有効需要を減少させ、上向きかけた売上高が減少に向う。ケインズが言ったように、個別企業の不況対策が全体としての不況の深化をもたらすのである。そのため回復したかにみえた景気は落ち、さらにいっそう固定費削減等ミクロの企業適応が生れる。[p.114]

脇田成は、日本経済が力強さを取り戻せない原因は、企業が過度にリスク回避的になる「要塞化」にあると指摘していました。アベノミクスも今のところ、「要塞化」の解消には力不足のようです。

賃上げはなぜ必要か: 日本経済の誤謬 (筑摩選書)

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リフレ派が主張していたように、「インフレターゲット量的緩和」でこの状況を打開できればよいのですが。


増えない純輸出と企業の「要塞化」 - Think outside the box


日本経済に迫り来る「1945年」 - Think outside the box


民間企業は日本再興の頼りになるか - Think outside the box