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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

「女子の自立天国」シンガポールは日本のモデルになり得るか

人口・少子化

「女性活用」の先進国としてよく参考に取り上げられるのは北欧諸国ですが、今度は「シンガポールに学ぼう」という意見が掲載されています。

diamond.jp

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シンガポール政府は、どのような税制優遇措置でワーキングマザーをサポートしているのか。主なものを紹介しよう。

(1)産後にワーキングマザーになると、旦那さんも税金控除をGet!

(2)ワーキングマザーは、子ども1人目は15%、2人目は20%、3人目以降は25%の課税所得控除をGet!

(3)子ども1~2人目で6000ドル、3~4人目で8000ドルのベビーボーナスをGet!

(4)ワーキングマザーが親に子どもを預けると、税額控除Get!

(5)ワーキングマザーが住み込みヘルパーを雇うと、メイド税の2倍相当の控除をGet!

(6)子どもを保育園に入れるときも、市民権か永住権を持ち、共働きをしている場合は、政府から保育料の補助をGet!

などなど……。

しかしながら、この記事はなぜか「不都合な真実」には触れていません。「不都合な真実」とは、

です。

シンガポールの合計出生率は、近年では日本を下回っています。特に、20代の出生率が著しく低下しています。*1

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シンガポール政府が、至れり尽くせりの子育て支援を行っているのは、出生率を高めるためです。しかし、これだけの支援を行っても低出生率が改善しないことにこそ注目すべきです。これらの支援策に限界があることは専門家が指摘しており、政府も認めています。

出生率低下の主因は、未婚率の上昇です。2012年の政府調査によると、未婚者の83%には結婚願望があるものの、①適当な相手に出会えていない、②仕事や学業を優先したい、などの理由で未婚のままです。

学歴と未婚率には男は逆相関・女は順相関の関係があることから、女の高学歴化・キャリア志向が未婚率上昇に寄与していることが窺えます。

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割を食っているのが「下の男」です。シンガポール人の男の結婚相手の実に1/3がアジア人(主に東南アジア)となっています。一方、女の結婚相手の4%はヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダ人です(男では0.4%)。結婚相手のミスマッチを輸入で埋めているわけです。

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この事情は香港と似ています。香港では女の要求水準が高まった結果、中国本土の「うるさくない素朴な女」と結婚する男が増えました。合計出生率も1.12(2013年)と、世界でも最低水準です。

www.theatlantic.com

Dr. Choi also feels that women expect far more from marriages than in the past when the need for financial security was often a defining factor.

“Previously women mainly looked for qualities such as work ethic and ability to support the family in a future husband, while the personality of a future wife was key for men,” she says. “But in contemporary Hong Kong society, there’s an expectation for marriages to be based on love and romance. So if the man’s merely hard working, that may not be enough. He also needs to be romantic and the couple needs to have chemistry.”

これが、日本より「女が輝いている」と喧伝されるシンガポールや香港の一面です。

シンガポールは「女子の自立天国」である――。

「女性は食事をつくったり家事をしなくてもいい」「親戚・ご近所さんの子育てサポートは当たり前」「夫にイクメンを求めて当然」「女性でも能力さえあれば、どこまでも昇進できる」といった状況が当たり前となっている

なぜシンガポールは、これほどまでに女性に「優しい」のか。

「仕事と子育てを両立させる環境整備が出生率引き上げには効果的」という考えに基づいて「女子の自立天国」を実現したものの、それは女の要求水準を高める(我儘*2)ことでもあったため(→未婚率上昇)、期待通りに出生率は上がらず、多くのアジア人の女を「輸入」することになっています。果たしてこれが日本が学ぶべきモデルになるか疑問です。

business.nikkeibp.co.jp

日本人は、出生率が問題であるという事実をかなり意識しているが、それが唯一の問題であることに気づいていない。私は、福島の原発事故問題よりも重要だと思う。[中略]長い歴史を見ても、出生率が日本にとって、唯一の重要事項だ。その他のことはすべて、許容できる。

ソビエト連邦の崩壊を予言したエマニュエル・トッドは、低出生率が日本の唯一の問題と警告していますが、シンガポールは、「女子の自立天国」にすることがその解決策にはならないことを示していると言えるでしょう。

totb.hatenablog.com

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*1:2012年など辰年に上昇しているのは、「辰年生まれの子は幸福に育つ」とされているため。

*2:日本がいくら譲歩しても決して満足せず、ますます要求を釣り上げる某国を連想させます。