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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

女のキャリアと理想の結婚相手はトレードオフ

少子化・ジェンダー

アベノミクスの第三の矢・成長戦略では「女性が輝く」ことが日本を持続的な経済成長に導くとされています。その具体策の一つが、いわゆるキャリア職(幹部候補)の女を増やすことです。

その障害となっているのが、幹部候補にはつきものの転勤やハードワークを、家事・育児と両立させることが困難なことです。

www.asahi.com

企業や官公庁だけでなく、研究者にもこの問題はつきまとっています。

私も夫婦で研究をしておりますが,周りでも夫婦で,研究者というのを何組か見ておりますけれども,遠距離で研究をしている方が非常に多い。割合として多いと思います。背景といたしましては,サイエンスだけではなくて,国自体が女性をもっと登用あるいは起用することを推進しております。では,実際に女性が研究しやすい仕組みがあるかというと,まだまだそういうふうにはなっておりません。例えば私の知り合いですけれども,夫は鹿児島,妻はつくばで助教をされている方で,子供も欲しいのですけれども,この距離では安定した家庭を持てないという方も知っております。

では,一緒に住みたいとなると,男性はなかなか動きません。女性がどうしても動くことになります。動くためにどうなるかというと,ランクを下げることになります。これだけのことができるのに,例えばテクニシャンになるというような問題点が実際あります。では,それが嫌だとどうなるかというと,別居生活でDINKsということになって,子供をつくらない。そうすると,国が抱えている少子化問題にも関わってくるかと思います。

これを「性差別」と捉える人がいると思われますが、それは短絡的です。

妻が家事・育児を主に担当するために仕事をセーブするのは、それでも家計が回るためであり、それは夫の所得が自分を上回るからでしょう(少なくとも大幅に下回ることはない)。個人にとっては損失でも、世帯にとっては得になるからです。そしてそうなるのは、女が結婚相手に「自分以上の男」を選んでいるからです(上方婚)。*1

「それは日本が遅れているから/進んだ国では女の下方婚も増えている」という反論もあるかもしれませんが、アメリカでは学士号授与者の6割を女が占めるようになっているにもかかわらず、所得が女>男の夫婦は少なく、結婚しても生活への不満が高く、離婚率も高くなっています。「理想の男が見つからない→妥協して結婚する→不満が溜まる→離婚」ということでしょう。

www.theatlantic.com

Evidence suggests that couples are less likely to get married if the woman's income exceeds her partner's. Once married, a wife earning more than her husband is more likely to be unhappy in the marriage, more likely to feel pressured to take fewer hours, and more likely to get divorced.

上の"The Atlantic"の解説はリベラル色が濃厚ですが、同じ論文を取り上げた下の記事のコメントはより本質を突いています。

meanonsunday says:

Unfortunately the authors reveal their bias from the very beginning by posing only two alternatives; that men and women both have equal preference for a partner with higher income, or that men prefer a partner with lower income. However, the evidence that they claim supports the latter view can be equally well explained by a third alternative; that women have a strong preference for a partner with higher income, while men have a weak preference or are neutral regarding partner income.*2

男女平等先進国のスウェーデンでも、妻の所得が相対的に高いと離婚率も高くなっています。

… the divorce risk increased linearly with the share of the wife’s income in the couple’s total income.

Our study has highlighted that couples where the wife earns more than the husband have a relatively high divorce risk not only in a traditional set up but also in a society that is organized on the principles of gender equality and with dominant egalitarian gender views.

建前では「男女平等」と唱えてはいますが、本音は「稼げない男に魅力はない」ということでしょう。

gendai.ismedia.jp

博士: 結論から言いますと、男性は自分より年収が高い女性と恋愛も結婚もできますし、女性も、自分より年収の低い男性と恋愛も結婚もできます。

ただ、基本的には、女性は自分より劣った男を好きにはなれません。

www.news-postseven.com

早稲田大学教授で恋愛学を教える森川友義さんが、なぜ高学歴女性が結婚できないのか理由を分析する。

「女性には今の自分が最低ラインと考えて、男性に自分より上を求める『ステップアップ思考』があります。身長は自分より高くて学歴も年収も自分と同じかそれ以上を願う。*3

下の二つの記事からの引用もあり得る話ですが、男女を入れ替えるとほとんどあり得ないでしょう。

gendai.ismedia.jp

「某中堅私大を出た夫がバカすぎて耐えられず離婚しました。たとえば、夫が『シェールガス』という言葉を知らなかった時には、本気で失望しました。こんな世間知らずな人といたら、私までバカになってしまうと身の危険さえ感じました」(一橋大法学部卒・33歳)

dot.asahi.com

40歳くらいの時に結婚相談所に入ったんです。当時の私の年収は1千万円くらい。それなのに、交際を申し込んでくる男性は年収250万円程度の介護士や派遣社員ばかりだったんです。憤りを通り越して悲しかったですね。即退会しました。

私自身はいま、1千万円には届きませんが、そんな年収の低い人と結婚するくらいなら一生一人でいいです。

最初の記事に戻ると、女がキャリアを追求するのであれば、家事・育児を引き受けてくれる「下の男」と結婚すればよいわけですが、そう考える女はほとんどいないようす。

放送大学の取材で、若い女性に「仕事ができて家事ができない男性と、家事ができて仕事ができない男性とどっちがよいか」 という質問をしたところ、九割以上の女性は、仕事の方と答えた。 

結婚相談所の坂本洋子氏によると、なかなか結婚できない男性ほど、「結婚すれば家事もやります」とアピールする割合が多いそうである。そして、家事をやる男性だからといって、結婚しようとする女性もまずいないそうである。

日本の未婚男女を比較すると、女の方が「注文の多い」ことは明らかです。

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残念ながら、この世の中は自分の欲しいことがすべて手に入るほど甘くはありません*4。ほとんどの人は、何かを我慢して生きているのです。ペプシコのCEOでさえ、下のように語っています。

www.theatlantic.com

I don't think women can have it all. I just don't think so. We pretend we have it all. We pretend we can have it all. 

「女性が輝く」ことに異論を唱える人は少ないでしょうが、そのためには何らかの代償が必要です。その代償が非婚化・少子化にならなければよいのですが。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

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*1:最近、輝かしい業績を上げた女の研究者の例としては、理化学研究所高橋政代プロジェクトリーダーが挙げられますが、その夫は京都大学医学部の同級生で、現在は京都大学iPS研究所の教授です。明らかに「下」ではありません。夫は脳外科、妻は眼科と、妻が「楽な科」を選んだことにも注目です。

*2:強調は引用者

*3:[引用者注]これが上方婚です。

*4:これは集団的傾向のことです。念のため。