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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

日本経済の二度の減速の共通点(デフレではない)

Bloombergにリフレ派からの批判が必至のインタビューが掲載されています。

確かに問題が多い内容ですが、下の引用部は重要です。

したがって、日銀が展望リポートで示す日本経済の姿は「成長率をうんと下げて、物価はほとんど動かないという形になる可能性が高い。これによって、デフレを脱却すれば成長率も上がるというのは大うそだということが明確に証明される」と早川氏は語る。

前二回の記事で見たように、デフレ突入後に日本経済の実質成長率は低下していません(むしろ上昇)。下のグラフから「デフレ→成長率低下」の関係を見出すことはできないでしょう。裏を返せば、デフレ脱却は実質成長率の上昇につながらないであろうということです。*1

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日本経済の実質成長率が下方屈曲したのは、デフレに突入した1998年前後ではなく、バブル崩壊後の1990年代初頭です。同様の下方屈曲は、高度成長が終わった1973年にも生じています。*2

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1973年と1990年代初頭に共通するのは、デフレではなく、製造業の急激な(相対的)縮小です。他業種には顕著な変化は生じていません。

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世界経済を破綻させる23の嘘

世界経済を破綻させる23の嘘

製造業部門が国際水準から見て活力があろうとなかろうと、その部門が相対的に縮小してしまえば、経済全体の生産性向上にマイナスの影響をおよぼす。なぜなら、生産性向上のスピードが遅いサービス部門のほうが優勢になった経済では、全体の生産性向上のスピードも落ちてしまうからだ。[…]生産性向上のペースが落ちれば、国としては心配せざるをえないし、最悪の場合はそれに甘んじるしかないのである。[p.140]

バブル崩壊以降の低成長は、①製造業の縮小→潜在成長率低下、に②労働力人口減少が重なって生じたものと考えられます。日本は장하준が言うところの「最悪の場合」に甘んじているということです。

「デフレこそ諸悪の根源」「日銀当座預金を激増させる→デフレ脱却→成長率上昇」という診断と治療法が、日本経済に対する原因療法ではないことは確かでしょう。*3


低成長率の原因~デフレより人口減少 - Think outside the box


デフレと需要不足の因果 - Think outside the box

*1:リフレ派が依拠するモデルは、日本経済の現実とは合致していないということ。

*2:1973年には、①為替レートの変動相場制移行、②石油危機、の二大ショックが起こりました。

*3:円高是正は製造業の国内回帰の必要条件ではあります。