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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

内部留保か賃上げか

内部留保よりも賃上げを」に関しては脇田成の説明が参考になります。

賃上げはなぜ必要か: 日本経済の誤謬 (筑摩選書)

賃上げはなぜ必要か: 日本経済の誤謬 (筑摩選書)

純資産・内部留保増大を問題とする見方に、会計の専門家と称する人たちから、会計が分かっていないなどといわれることがあります。しかし、このような反論は誤りです。 

反論5b バランスシート上の内部留保自己資本となって、機械設備等の実物資産になっているから、給与や配当は上昇させられない。

この意見はフローとストックを混同しています。利潤のフローが積み重なってストックとしての純資産が毎年20兆円以上も増加しているわけですから、当然フローとしての賃金上昇の余地は10兆円程度は存在していたはずです。

資源は経済活動によって何らかに配分されてしまっているので、残りがないという意見は経済分析上の「事前」と「事後」の区別を忘れています。通常の需要曲線・供給曲線からなる部分均衡図で、事後的に資源配分をみれば、すべてが需要されて供給余地がないということになってしまいます。

非金融法人企業部門は1998年度以降、平均20兆円強の資金余剰を続けています。

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その結果、株式を除いた純負債はピーク時から380兆円も減少しています。

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自己資本比率は劇的に上昇しています(特に非製造業)。

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リーマンショック後、資産の現預金は約50兆円増加しています。内部留保がすべて実物資産になっているわけではありません。

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日本企業のキャッシュ保有はいかに解明されるか!: 官庁エコノミストのブログ

企業部門だけを見れば「よいこと」かもしれませんが、企業財務の過度の健全化は、政府部門の赤字(→国債累増)と家計消費の抑制の原因であり、日本経済全体にとっては望ましいことではありません。 

貯蓄過剰に対して、消費拡大が、また家計の金融資産活用が叫ばれることが多いわけですから、企業貯蓄となる内部留保がなぜ聖域視されるのでしょうか。

安倍総理大臣の賃上げ要求は、日本全体にとっては当たり前のことです。


安倍首相、政労使会議で賃上げ要求へ 地方、中小へ波及目指す - 経済・マネー - ZAKZAK

「企業栄えて国滅ぶ」を避けるためには、マクロの視点が欠かせません。政治家や財界人がマクロの視点を失ったことが、日本の停滞を長引かせているように思えます。

近年の会計士試験ではマクロ経済学が必須とされていませんが、これらの議論を見ると義務付けたほうが良いのではないでしょうか。


Abe’s Pleas to Japan Inc. Unheeded as Firms Hoard Cash: Economy - Bloomberg

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