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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

残念な「アベノミクス批判」批判

またまた「?」な記事です。

toyokeizai.net

アベノミクスの最重要政策である金融緩和策に対して、ピケティ氏が懐疑的であると伝えているメディアもあるが、「金融緩和政策の行き過ぎがバブルを招く」という、一般論を述べたに過ぎないのではないか。

アベノミクスの最重要政策である金融緩和策」を一言で表すとこうなります。

shuchi.php.co.jp

インフレ期待を起こせばいい。これほど簡単なことはない。日本銀行お金をいっぱい刷り、これからも当分そうしますよ、といえばいい。*1 

ピケティが複数のメディアに語った内容は、村上の「一般論を述べたに過ぎないのではないか」との期待(願望)に反して、「お金をいっぱい刷り」に懐疑的としか読めません。*2

toyokeizai.net

日本にとっては、欧州や米国と同じように、金融政策は魅力的だろう。何十億円もの紙幣を印刷するのは簡単だからだ。

[…]紙幣を印刷しても、何らかの利子率を下げたりすると、特定のセクターがバブル化したり、必ずしも富ませるべきでない人を富ませることになったりする危険がある。

www.asahi.com

円やユーロをどんどん刷って、不動産や株の値をつり上げてバブルをつくる。それはよい方向とは思えません。特定のグループを大もうけさせることにはなっても、それが必ずしもよいグループではないからです。インフレ率を上昇させる唯一のやり方は、給料とくに公務員の給料を5%上げることでしょう。

2月3日の読売新聞でも次のように語っています。

安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、格差を拡大する一方で、経済は低成長になるという最悪の事態に陥るリスクがある。金融緩和は資産のバブルを生むだけだ。取り組むべきは賃上げの強化だ。

村上が主張する「アベノミクス発動で実際に起きたこと」も現実とは異なります。

そして、アベノミクス発動で実際に起きたことは、これまでのコラムでも指摘しているが、株高や脱デフレだけではない。株高などと同時に始まった経済成長の高まりが、労働市場の環境を大きく変えた。2012年まで減少し続けた雇用者の数は増加に転じ、高止まっていた失業率は大きく低下した。インフレの到来と同時に、失業者と連動して変動する傾向がある自殺者の数も、アベノミクス発動後に大きく減少している。

失業率低下と自殺者数減少は民主党政権発足直前から続いており、アベノミクス発動前後でトレンドに大きな変化は見られません。

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深刻な社会問題だったデフレ不況が招く低所得世帯が減ることで、日本では「経済格差の是正」がアベノミクスによって起きたのである。

雇用・所得環境が改善したのは事実ですが、株式や不動産価格の上昇は、資産格差を拡大させる方向に働いています。

news.mynavi.jp

そもそも、ピケティが問題視する格差は、労働所得よりも資本所得の伸びが高い(r>g)ことによって生じます。

アベノミクス批判」に残念なところはあるかもしれませんが、その批判が残念なものだというのも残念です。

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*1:強調は引用者、以下同。

*2:ピケティとリフレ派は、デフレをインフレに転換させることでは一致しますが、その手段が異なります。リフレ派の「中央銀行の資産大量購入(LSAP)による資金大量供給」の副作用をピケティは懸念しています。