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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

「インフレよりもデフレがいい」の不可解な根拠

最近の東洋経済オンラインには訳が分からない記事が増えています。


なぜ21世紀型インフレは人を不幸にするのか | 中原圭介の未来予想図 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト 

2000年を100とした場合のアメリカの名目賃金消費者物価指数の推移を見ると、2013年のアメリカ国民の平均所得は97.9と下がっている一方で、消費者物価指数は135.3と上昇してしまっているのです。そこで、名目賃金を消費者物価で割り返して実質賃金を計算すると、実質賃金は72.4まで下がってしまっているわけです。

2013年時点でアメリカ国民の名目賃金は1995年の水準に下がってしまっているのに[後略]*1

大恐慌期のアメリカでは、1人当たり実質可処分所得が4年間で26%減少しました。最近では、ギリシャの実質GDPが6年間で27%減少しています。

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13年間で実質賃金が27.6%も低下したのであれば、21世紀のアメリカは「緩やかな大恐慌」真っ只中ということになります。

しかし、アメリカの公式統計によると、1人当たり実質GDP実質賃金は緩やかながら増加を続けています。名目賃金も1995年の水準に逆戻りしていません。

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事実に反する「データ」からは、誤った結論が導かれます(Garbage in, garbage out.)。


なぜインフレよりもデフレがいいのか | 中原圭介の未来予想図 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

2000年以降のアメリカの事例は、通貨安・物価高よりも通貨高・物価安の組み合わせのほうが、国民の生活水準の向上に寄与するだろうという事実を見事に示しています。

日本でも、製造業ではデフレが実質賃金の上昇≒生活水準の向上に寄与しています。

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しかし、1993年のクリントン政権の円高誘導以降、労働力人口に占める製造業就業者の割合は、24%→16%に1/3も縮小しています。デフレのメリットを享受できるのは少数派に限られます。

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相対的に高賃金の製造業が縮小したため、労働市場全体では賃下げ圧力が強まり、賃金の低下が物価の低下を上回っています。多数派にとっては、円高・デフレがプラスとは到底言えません。

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「資源価格高騰時には円高にもメリットがある」には一理ありますが、資源価格が下落すればメリットをデメリットが上回るのは必然です。原油価格下落を予想していたにもかかわらず、円高が望ましいというロジックは奇妙です。

早ければ2016年にも原油価格が50ドル割れまで下落し、家計の消費余力が拡大すると見込んでいた

ロジック以前にデータリテラシーの問題ですが。

*1:強調は引用者。