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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

デフレの本当のコスト

過去記事では「マイルドなデフレは経済成長を阻害しない」というAndrew Smithersの分析を紹介していますが、

Abenomics – Myths, Rhetoric and Reality

  • I see Abenomics as being based on two myths.
  • Myth 1 – The Japanese economy has underperformed relative to other G5 countries.
  • Myth 2 – That this non-existent poor performance is due to deflation.
  • Being myth based, current policies are failing to address Japan’s key issues.

BISのQuarterly Reviewでも、デフレのコストが過大視されているという分析が示されています。

jp.reuters.com

www.bis.org

…, it is misleading to draw inferences about the costs of deflation from the Great Depression, as if it was the archetypal example. The episode was an outlier in terms of output losses; in addition, the scale of those losses may have had less to do with the fall in the price level per se than with other factors, including the sharp fall in asset prices and associated banking distress.

1929年~の大恐慌がデフレの典型例とされることが多いのですが、大恐慌はむしろ例外的事象であり、実体経済の悪化は、物価下落よりも資産価格の大暴落と銀行システム危機(信用収縮)に原因があったとしています。*1

確かに、株価大暴落に先立つ1928~29年はマイルドなデフレにもかかわらず株高と景気拡大が続いていました。

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日本でも、景気が決定的に悪化したのは1997~98年の金融システム危機時であり、2003~07年にはマイルドなデフレが続く中、円安に牽引されて史上最長の景気拡大を達成しています。*2

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ADMインベスター・サービシズのエコノミスト、スティーブン・ルイス氏は顧客向けノートで「先進国の働き手が賃上げを要求できないといった金融危機後の状況下で、物価の低さは普通ということだろう」と述べ「そうした環境において、金融政策を通じて消費者物価を押し上げようとする、いかなる試みも成功は一時的なものにとどまる可能性がある。物価上昇は家計の実質所得を圧迫し、消費需要を失速させて、最終的に生産者の価格決定力を弱める」とみている。

インフレ率よりも、実質賃金を引き上げる政策の実行が望まれます。

www.bis.org 

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

*1:資産価格急落→バランスシート毀損やクレジットクランチが主因であるものを、物価下落によるものと誤認

*2:バランスシート調整と金融システム安定化は、2000年代前半にほぼ完了していた。