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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

量的・質的金融緩和の「2-2-0」

金融

インフレ率2%を目指した日本銀行の量的・質的金融緩和開始から2年が経過し、マネタリーベースが2倍以上の約300兆円(うち日銀当座預金210兆円、日銀券+貨幣90兆円)に達したので、当時を振り返ってみます。

jp.reuters.com

山本氏は、日銀副総裁に就いた岩田規久男氏が学習院大学教授当時に作成したシミュレーションから、消費者物価上昇率2%達成には、現在145兆円のマネタリーベースを160兆円─170兆円に増やしていく必要があるとした。

「早く160兆円、170兆円にもっていけば、半年後くらいには、ブレークイーブン・インフレ率は2%に達する」とした。

マネタリーベースは2013年7月には170兆円を超えたので、この予測通りであれば2014年1月頃にはインフレ率2%を達成していたはずですが、現時点では「往って来い」にとどまっています。「2年―2倍―0%」です。*1

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www.bloomberg.co.jp

一方、大方の予想以上に変化したのが為替レート(1ドル=120円)と株価(日経平均2万円)です。*2

円レートや株価との相関式に当てはめると、ドル/円は98円、株価は1万1600円になるだろうとしている。

実質実効為替レートは1973年の変動相場制移行後の最低水準まで低下しており、円安の行き過ぎ感が強まっています。

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gendai.ismedia.jp

過去の経験則では、購買力平価から20%円安のレンジを超えてくると一方的に円安メリットを享受する局面からデメリットを意識し始める局面に入ってくる可能性は排除できない。

株価の判断は難しいものの、過去半世紀の経験則(実体経済との比較)からは、天井が21000円程度、落ち着きどころは18000円程度と推測できます。山崎元の見方が妥当なところでしょうか。

www.zakzak.co.jp

状況判断的に筆者は「もう」より「まだ」(株価上昇余地あり)に賭けるが、天井はそう高くないと思っている。

「給与が増えていないのに株価だけが上昇するのはおかしい」という意見もあるようですが、株価は企業利益を反映するものであり、企業利益は絶好調なので、株高は不自然ではありません。

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今後の景気ですが、

  • 消費税率引き上げの影響が薄れる
  • 小幅ながらも賃上げが見込まれる
  • 原油安のプラス効果が十兆円程度見込まれる(現状の価格を維持した場合)*3

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などを総合すると、2014年の失速から再拡大に転じる可能性が高そうです。

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もっとも、QQEの成果というより、それ以前から続く自律的成長の回復という見方が適当でしょう。

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QQE支持者には浜田のような認識が根強いようですが、

gendai.ismedia.jp

一九九八年に新日本銀行法が施行されて以降、次章でも示すように、日本経済は世界各国のなかでほとんど最悪といっていいマクロ経済のパフォーマンスを続けてきた。主な原因は、日本銀行の金融政策が、過去一五年あまり、デフレや超円高をもたらすような緊縮政策を続けてきたからだ。*4

実際には、世界同時ITバブル崩壊後の日本経済は、米独と遜色ないパフォーマンスを続けています。*5

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2011年の東日本大震災、2014年の消費税率引き上げのようなショックがなければ、米独並みの成長率を回復するわけです。「誤診」に基づいた「過剰診療」の害に用心したほうがよいかもしれません。

www.zakzak.co.jp

*1:本来の順序は「0-2-2」ですが、文脈に合わせて2-2-0にしています。

*2:QQEの根拠の相関式が当てにならないということでしょう。

*3:鉱物性燃料輸入額は2008年27.7兆円→2009年14.2兆円→2014年27.7兆円

*4:強調は引用者。

*5:「日銀が緊縮政策を続けてきた」の論拠が崩れます。