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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

少子化の因果関係を認められない研究員

少子化問題の論者には、自分の主義主張・イデオロギーを正当化するために、都合の良いデータをピックアップして結論を導く人が多くいます

totb.hatenablog.com

上の記事でそのことを指摘した ニッセイ基礎研究所の研究員・天野馨南子(東京大学経済学部卒)が、またもやミスリーディングなレポートを書いています。

www.huffingtonpost.jp

少なくとも「女性が社会進出しているから、出生率が低い」という考え方は統計的には否定されたのである。

女性活躍推進(女性労働力率の上昇)そのものは出生率上昇に向かい風ではない。

このレポートの問題は、女の労働を十把一絡げに「社会進出」「活躍」としていることです。「労働」と言っても、三ちゃん農業で働く農村の主婦と、都心への通勤時間片道1時間半のバリキャリ女では、出産・育児への影響は大きく異なります。

昔の農村社会では、女の高い労働力率と高出生率が両立していましたが、この背景には、

  1. 職住近接(仕事しながら子供の面倒を見ることが可能)
  2. 親や近所の支援を得やすい

がありました。

1.ですが、通勤時間30分超の割合が多い都府県は、出生率も低い傾向が見られます(グラフの右下)。

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2.の例が、高い女の有業率と出生率を両立させているとされる福井県です。

www.sankei.com 

福井県が公開しているデータによれば、同県の女性の有業率は53.0%で全国1位、共働き世帯割合も36.4%で1位と、女性の社会進出が目立つ 

鍵を握るのが、家族形態だ。同県の3世代同居率は全国2位の17.6%。同居していなくても近くに祖父母がいる家庭が多く、子供たちは両親からだけでなく祖父母の愛情と“しつけ”を受けて育つ。

これらは大都市で長時間通勤する賃金労働者に当てはまりません。

高齢者との同居が女の賃金労働と高出生率を両立させていたことは、産業革命期のイギリスでも見られたことです。

イギリス 繁栄のあとさき (講談社学術文庫)

イギリス 繁栄のあとさき (講談社学術文庫)

産業革命時代になると、綿工業都市の家族構造には、微妙な変化が現れる。一言で言えば、家族の規模がいくらか大きくなり、老人が若い夫婦と一緒に住む例が現れてくるのである。

綿工業都市に現れた新たな家族構造というのは、この二つのタイプの「弱い」家族が合体したことを意味している。家庭外に職を得て自立はできない高齢者でも、家のなかで子守はできる。子守役が見つかれば、若い妻は働きに出ることができる。こうして、綿工場のような、賃金労働の場が近くにある場合、三世代家族が効率的となったらしいのである。

加えて重要なのが、天野のようなバリキャリ志向、あるいは政府が推進する「女性が輝く」働き方ではないことです。

福井県には、女性の社会進出の割に管理職への登用が少ない(全国41位)などの課題があるのも事実。それでも県民の「幸福度」が高いのは、3世代同居世帯など大家族の意義を実感しているからだろう。

要するに、女の労働参加と高出生率を可能にしているのは、天野が夢想するような「新しい男女のライフ(ワーク)スタイル」ではなく、「遅れた昭和的な家族」ということです。 

diamond.jp

念のために申し上げますが、私は女性の社会進出推進そのものには、もろ手を挙げて賛成の立場です。

今の日本は、“女性の活躍推進で、女性が苦しむことになりかねない”社会なのです。

「女性活躍推進に諸手を挙げて賛成」するのは自由ですが、研究者であれば、たとえ「不都合な真実」であったとしても、それが少子化を促進してしまうことを認めるべきでしょう。本質ではない「生殖適齢期」の問題にすり替えるべきではありません。*1

「頭がいい人ほど自説に都合の良いロジックをでっち上げる」ことの好例でした。*2

totb.hatenablog.com

このようなレポートを書く仕事で年収1000万円以上(推定)稼げるとは羨ましい限りです。

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

totb.hatenablog.com

*1:認知的不協和のために、“「女性活躍推進」が「少子化推進」となってしまう”ことを素直に認められないのでしょう。

*2:自分を正当化するために、このような歪んだレポートを量産しているのでしょう。