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リベラルが「1億総活躍社会」を批判する不思議

安倍総理大臣が打ち出した「1億総活躍社会」の評判がよろしくないようです。

r25.yahoo.co.jp

不思議なのは、リベラル派(特にフェミニスト)までもが批判していることです。女も男と同じように賃労働することがフェミニストの目標のはずなので、安倍首相の

女性や高齢者の皆さんにももっと活躍してもらえるよう、多様な働き方改革も進めていきたいと思います。

には「総論賛成」するのが当然のはずです。批判するのは、「多様な働き方改革」(flexible capitalism)が多くの働く女にとって悪夢となる可能性に感付いているからではないでしょうか。 

www.theguardian.com

Feminist criticism of that ideal now serves to legitimate "flexible capitalism". 

Never mind that the reality that underlies the new ideal is depressed wage levels, decreased job security, declining living standards, a steep rise in the number of hours worked for wages per household, exacerbation of the double shift – now often a triple or quadruple shift – and a rise in poverty, increasingly concentrated in female-headed households.

まさか、賃労働がすべての働く女を「輝かせる」、あるいは"Arbeit macht frei"を本気で信じていたのだとすればあまりにもナイーヴです。一部が"have it all"と勝ち誇る一方で、多数は生活のために不満を抱えながら働かなければならなくなるのが、歴史が教えてくれる未来です。*1

ヒットラーの社会革命―1933~39年のナチ・ドイツにおける階級とステイ

ヒットラーの社会革命―1933~39年のナチ・ドイツにおける階級とステイ

「それは1人の女性を高級官僚にし、数十万の女性を資本主義的経済秩序の賃金奴隷たらしめた。働く権利を奪われている男はいまや約600万もいる。女だけが、安価でいつでも利用できる搾取の対象として、いまなお仕事を見つけることができるのである」。 

「結婚して夫に働かせる」は、ヒトの長い歴史において、子育てする女の生活を保障する基本戦略でした。

ヒトの祖先のメスがしたことが、オスを育児に取り込むということだったのではないかと考えられる。自分の腹を満たすことしかしてこなかったオスに、食べ物の供給を手伝わせようというのだ。

フェミニストの要求に従ってこの生活保障システムを破壊すれば、生活困難に陥る女・産まない(産めない)女が量産されるのは自然なことです。

生活保障システム破壊の根底には、ボーヴォワールのような異常思想があります(子供よりも賃労働)。

ボーヴォワールは語る―『第二の性』その後 (平凡社ライブラリー)

ボーヴォワールは語る―『第二の性』その後 (平凡社ライブラリー)

私は幸運でした。私は出産や家事の義務など女性を隷属させるいろんなものをまぬがれていましたから。

個人的な面では、一番大事なことは働くことです。そしてできれば結婚を拒否すること。

子どもから解放されないと女性は解放されない

綱渡りの達人には不要(というより邪魔)な命綱を撤廃すれば、普通の人にとっては恐ろしい状況になるのと同じことです(転落死の危険も)。強者にとっての自由な社会は、多くの普通の人にとっては苛酷です。

特異な優秀な人が押しつける理想は、多数派の普通の人には得てして大迷惑です。

president.jp

賃労働と資本/賃金・価格・利潤 (光文社古典新訳文庫)

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totb.hatenablog.com

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*1:「賃労働=自己実現」と錯覚しているようです。