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Think outside the box

MAKE JAPAN GREAT AGAIN

リフレが金融から財政へ

リフレ派が続々と財政出動を求め始めています。

jp.wsj.com

景気停滞の原因が消費税率引き上げだとすると、量的・質的金融緩和にはそのマイナス効果を打ち消すほどのプラス効果がなかったことを意味します。

岩田さんと黒田さんとスティグリッツさんの話 

今でも私は消費税引き上げはやめた方がいいと断固言い続けますけど、しかし、岩田さんのこの論文を読んで、現実問題として景気挫折の可能性は消えたと思いました。

断言しましょう。大変な好景気がやってきます。バブルを知らない若い世代は、これを見てビビって目を回すでしょう。

量的緩和の効果がはかばかしくないのは日本に限ったことではありません。

gendai.ismedia.jp

インフレ率がなかなか目標の2%近傍に到達しないことから、先進主要国では依然としてゼロ金利政策が継続中である。

リーマンショック後の経済構造では、金融政策のみでインフレ率を引き上げようとしてもなかなか上昇しない。

安達は量的・質的金融緩和の開始前には以下のように主張していました。

円高の正体 (光文社新書)

円高の正体 (光文社新書)

  • マネタリーベースを150兆円程度まで拡大すれば円高は止まり、「1ドル=95円」までの円安局面が訪れ、日本経済はデフレから脱却し(その時のインフレ率は1.5%程度)、2%の名目経済成長が可能になる
  • マネタリーベースを200兆円まで拡大すれば、「1ドル=115円」までの円安局面が訪れ、日本経済はデフレから脱却し(その時のインフレ率は3%程度)、4%の名目経済成長が訪れ、日本経済は完全復活を遂げることができる

マネタリーベースは既に300兆円を超えていますが、1ドル=120円の円安は実現したものの、インフレ率3%・名目経済成長率4%・日本経済完全復活からは程遠い状況です。

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マネタリーベース拡大の効果がリフレ派の想定を下回ったのは、金融の仕組みを誤解していたことにあります。*1

(1)日銀が、マネタリーベースを“十分に”供給し“つづける”=日銀が銀行の当座預金口座に現金を“十分に”供給し“つづける”*2

(2)すると、銀行は今後インフレがくると予想し(=銀行内部での予想インフレ率の上昇)、日銀から振り込まれた資金を原資に、株や外債での運用を増やす=株高と円安が生じる*3

何度も引用しているイングランド銀行の現代のマネーに関する解説です。

Money creation in the modern economy

This description of money creation contrasts with the notion that banks can only lend out pre-existing money, outlined in the previous section. Bank deposits are simply a record of how much the bank itself owes its customers. So they are a liability of the bank, not an asset that could be lent out. A related misconception is that banks can lend out their reserves. Reserves can only be lent between banks, since consumers do not have access to reserves accounts at the Bank of England.

Quarterly Bulletin 2014 Q1 | Bank of England *4

貸出によって預金を創造できる銀行にとって、準備預金(reserve)は貸出の原資(あるいは制約)ではありません。なので、超過準備を増やしても貸出や「株や外債での運用」を増やすことには直接的にはつながりません。量的・質的金融緩和がリフレ派の期待通りの成果を上げなくて当然ということです。「第一の矢」は株価と為替レートには影響したものの、的を射ぬくほどの力はなかったということでしょう。

「第一の矢」が期待外れなら、「第二の矢」の財政政策に期待せざるを得なくなりますが、

もし、アベノミクス第二弾が、本格的に「名目GDP600兆円」の目標にコミットするのであれば、財政政策の転換(財政支出の拡大)と金融政策の目標変更(現在のインフレ目標から名目GDP目標、及び、日銀法の改正)もあり得るのではないか。

「名目GDP600兆円にコミットすれば600兆円が実現する」は言霊思想でしょうか。

www.bloomberg.co.jp

マネタリーベースと物価の関係について高橋氏は「やりながらでないと分からないところがちょっとある。

www.bloomberg.co.jp

現在の経済状況について山本氏は、14年4月からの消費増税の影響もあり、企業収益の改善が所得分配を通じて「消費が増加するという流れを作りきれていない」と指摘した。

思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき

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totb.hatenablog.com

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参考

誤解の典型例です。『真説 経済・金融の仕組み』やイングランド銀行の解説と読み比べてください。

labaq.com

*1:加えて消費税率引き上げのマイナス効果も。

*2:[引用者注]日銀は当座預金を一方的に銀行に供給する(→銀行の資産が拡大する)のではなく、主に国債と交換するので、銀行資産は拡大しません。グラフを参照。

*3:強調は引用者、以下同。

*4:リフレ政策に関心がある人は必読