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佐々木百合・明治学院大学教授から届いた記事削除要請

2013年6月7日の記事に関して、明治学院大学佐々木百合教授より、権利侵害/名誉棄損/業務妨害にあたるとして、はてなサポート窓口経由で削除要請を受けました。

当該記事は、2013年6月4日放送のNHK「オイコノミア」における、佐々木の量的・質的金融緩和のメカニズムの解説に誤りがある、との内容でしたが、比喩的な説明*1のため厳密性を欠いていたことや、テレビは編集によって発言者の真意が正しく伝わらないこともあることを考慮して、非公開設定に切り替えています。

その上で、はてなサポート窓口経由で届いた佐々木のロジックについて検証します。

佐々木はQQEが効く経路として、

  1. 日銀が国債買い入れ等によって銀行の当座預金口座に資金を供給する
  2. 当座預金が積み上がると、銀行は高金利を求めて企業への貸出を増やす
  3. 貸し出されたカネが使われることで預金が増加していく

と、ポートフォリオ・リバランス効果を挙げています。

これは理論的にはあり得ますが、国債金利の長期低下傾向や銀行の安全資産(国債及び日銀当座預金)志向が続いていることは、期待されていたような効果が上がっていないことを示しています。

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2013年6月7日の記事の主旨は「超過準備は銀行貸出に回らない」でしたが、これは佐々木の「日銀当座預金の資金は…直接的間接的に貸出にもまわる」という主張と対立します。佐々木の主張は、日本銀行OBの横山が「間違っている」とするロジック(貨幣乗数アプローチ)を意味していると判断できます。

そもそも、

「銀行券流入にせよ(その事実誤認はすでに論難済み)、オペなどによる準備預金追加注入にせよ、いわゆるベースマネーを増やせば、それが始発点・原資となって、その信用乗数倍のマネーストックが追加供給される」

という論理構成そのものが間違っているのである。そういう理屈も存在しないし、事実にも反する。

準備預金は、銀行の対企業融資の原資を提供するのではなく、日銀勘定にじっと留まったまま、銀行間決済の場、日銀による金利操作の舞台、という役割を務めるもの。

イングランド銀行四季報でも"misconception"とされています。

Money creation in the modern economy

This description of money creation contrasts with the notion that banks can only lend out pre-existing money, outlined in the previous section. Bank deposits are simply a record of how much the bank itself owes its customers. So they are a liability of the bank, not an asset that could be lent out. A related misconception is that banks can lend out their reserves. Reserves can only be lent between banks, since consumers do not have access to reserves accounts at the Bank of England.*2

…, these reserves are then ‘multiplied up’ to a much greater change in bank loans and deposits. … While the money multiplier theory can be a useful way of introducing money and banking in economic textbooks, it is not an accurate description of how money is created in reality.

www.youtube.com

www.nakedcapitalism.com

Let’s first recall that BANKS DO NOT LEND THEIR RESERVES, as is always depicted in the economics textbooks via so-called “fractional reserve lending”.

At the individual bank level, certainly the “price of reserves” will play some role in the credit department’s decision to loan funds. But the reserve position per se will not matter. 

横山やイングランド銀行(のRyland Thomas)が正しいのであれば、「オイコノミア」における佐々木のQQE解説はやはり正しくなかったことになりますが、ここから先は、かつての岩田―翁論争のような、専門家同士の議論にお任せします。

totb.hatenablog.com

なお、この件に関して新たに記事を書く際には、事前に大学を通して連絡するようにと佐々木より要望があったことを付記しておきます。

追記(余談)

「名誉棄損→削除」を求める一例(本文とは関係ありません)

www.sankei.com

*1:日銀当座預金と現金を同一に扱うなど。

*2:強調は引用者。